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南国港町おばちゃん信金

インド:ビシャカパトナム市
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概要「貧困層」向け援助の「お客さん」と化していたインドの都市スラムに暮らす女性たち。よそからの援助に頼らず、信用金庫という自分たちで助け合える仕組みを作るサポートを行うプロジェクト。
期間2004年~2011年
場所インド アンドラ プラデッシュ州ビシャカパトナム市
協働者SOMNEED India
協力者JICA「草の根技術協力事業パートナー型」

活動内容

自分たちの貯金と出資金だけを元手に彼女たち自身がルールを決めて資金を回していく「困ったときに、必要なだけ、低利子で借りられる」信用金庫、ビシャカ・ワニタ・クランティ(VVK)の設立と運営をサポートしました。女性たちの信用金庫設立前から経営能力と信金へのオーナーシップ意識を醸成するよう、参加型手法を用いて介入しました。

VVKの役員やスタッフに対し、ソフトウェア開発支援や帳簿付けやローンの運用方法などのスキルアップ研修といった様々な研修を実施しました。

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ムラのミライの研修を受けたトレーナーたちが、マイクロクレジットグループを回って、貯金を元手に資金を回転させる仕組みと帳簿の付け方を学ぶ研修を実施。
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信用金庫の理事たちが信金の会員を訪れ、ローン商品(ピンクの表紙の本)について説明。2回返済までは利子ゼロなど素早く返済するメリットを読み書きできない会員にもわかるように伝える。
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信金の事務所の帳簿と会員の個人の帳簿の数字が合ってないことが判明。信金の理事とスタッフが会員を一人一人訪れて帳簿の数字を確認する。信金スタッフ(右)と一緒に会員(右から3番目)から話を聞く宮下駐在員(左)(2010年当時)。
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信金のスタッフ(左)が、ローン申込書の記載間違いがないかをチェック。

成果(何が起こった/変わったか)

98人が約12,000円の元手で始めた信用金庫は、事業終了後の2014年3月の時点で、年間貸付高3,178万円、会員数3,160人、2020年3月の時点で年間の総貸付高が1億円を超え、会員数も約5千人と増加しており、拡大を続けています。女性たちは信金を「私たちの信金」として、オーナーシップを持ち、組合員として信金を利用する、スタッフとして働く、経営者としてスタッフを雇用するなど、さまざまな形で信金に関わっています。

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銀行窓口。独自ソフトを導入し、一気に透明性が高まった信金の業務。信金スタッフは、手書きで時間のかかっていた貸出業務を短時間で出来るようになった。

研修生の声

この事業は、今までの事業と違います。私たちが物乞いのように何かをもらう事業ではなく、責任を持って事業をまかされるのです。

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これまでグループ(15~20人)で一つの通帳しかなく、自分が借りたいときに借りられないマイクロクレジットグループしかなかったが、信金のおかげで女性が初めて夫や父親の名前でなく自分の名前で通帳(顔写真付きのピンクの冊子)を持てるようになった。

いろいろな経験をしました。銀行の代表や事務局長も経験しましたし、運営委員、研修の講師、オフィスの職員をしたことも。研修の講師になったときはホントに緊張したけど私たちの銀行の仕組みをわかりやすく伝えるよう頑張りました。今は集金スタッフとして働いています。近所の人たちからも頼りにされています。給与は1,500ルピーだったのが8,000ルピーになりました。計画的に貯金をし、子どもの養育に充てるようになりました。以前の私たちは「何も書かれていない紙」みたいなものだったなと思います。でも活動を通して様々な経験を積んで、そして経験から学んできた自分たちのことをとても誇らしく思っているんです。
*2020年3月のお給料は3万ルピーだったそうです。(歩合制なので最近で一番成績のよかった月)

動画 「インド スラムの女性銀行家」(YouTubeリンク)

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インドを離れて4年ぶりに信金を訪れた元インド駐在スタッフの原(2015年当時)。
『南国港町おばちゃん信金』(新評論2014年)を同書の主人公のおばちゃんたちに手渡す様子。

読みもの

2013年度年次報告書
原康子(2014)『南国港町おばちゃん信金: 『支援』って何? “おまけ組”共生コミュニティの創り方』新評論

 

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