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「子どもの話を聴く技術」研修プログラム

日本:大分県
会議室で参加者と講師がやり取りをしている。
概要近年、放課後児童クラブやこども食堂といった「子どもの居場所」は増加しています。しかし、そうした家庭や学校ではない第三の居場所で子どもたちをサポートする子ども支援者への研修はほとんど実施されていません。そこでムラのミライでは子どもが安心して話せる大人を増やそうと、2021年度から子ども支援者がメタファシリテーション手法を学ぶ機会として「子どもの話を聴く技術」プログラムを実施してきました。
期間2023年9月~2024年1月
場所大分県
協働者(特活)しげまさ子ども食堂ーげんき広場ー
協力者豊後大野市まちづくり推進課(2023年度市民提案型協働のまちづくり活動推進事業)

活動内容

2023年度は、大分県豊後大野市の子ども支援NPO(特活)しげまさ子ども食堂ーげんき広場ーと協働で実施しました。しげまさ子ども食堂は、大分県豊後大野市で子ども食堂や小学生を対象にした子どもの居場所、中学生を対象にした学習支援を行っています。事務局長である首藤さんから、子ども支援者研修を大分県でも実施したいというお話があり、支援現場の現状を把握するため講座と事例検討会を行いました。
NPOスタッフのほか、子育て相談員や市役所職員、教員の方が参加されました。また今はまだ子育て中だけど、今後子ども支援をしてみたいという方も、お子さんと一緒に参加されました。

対面講座と事例検討会を9月、10月に4日間実施し、その間にオンラインによるフォローアップを2回行いました。講座では、子どもが安心して話せる「投げかけ」を理解するために、子どもの権利についての情報提供や支援現場で信頼関係を築く投げかけについて研修したほか、事実質問での対話ワークに取り組みました。参加者からは、「今まで答えやすい質問を意識したことがなく、練習が必要だと思った。」といった声が聞かれました。

成果(何が起こった/変わったか)

事例検討会では、これまでの子どもへの投げかけを振り返る時間を持ちました。ある参加者から、「子どもにルールを守って欲しいけれど、理解してもらえない…。」という意見があり、具体的にどんなルールなのか、また最近ルールを守れなかった時はいつだったのか、その場所にいた子どもや他のスタッフの言動を思い出しながら、「ルールを守れなかった事例」について時系列で表に整理しました。
この参加者の団体では、研修後、ルールそのものを見直すことになりました。また2024年1月に研修プログラム事業報告会を実施、参加者が研修での気づきを発表しました。特に、しげまさ子ども食堂では、スタッフ間で共通理解を持つことの重要性に気が付き、スタッフミーティングの機会を増やすことになったそうです。

参加者からの声

  • 地域でホームスクーリングをする中学生の話を丁寧に聞けるようになりました。以前は子どもが話す出来事について背景を知りたくて「何か理由があるの?」と聞いていました。研修後は、その子の行動を時系列で聞いていくと、ご家庭での様子や学校の先生や友達とのやり取りがありありと分かり、私が勝手に思い込んでいた状況と、実際の子どもの状況は大きく違うことが分かりました。今後も自分の思い込みに引っ張られすぎず、まずは子どもの話を丁寧に聞いていきたいと思います。(NPOスタッフ)
  • 講座で印象に残ったことは、相手が問題だと思っていることを事実質問で聞くワークです。教員なので普段聞くことが多いので、聞いてもらうことが新鮮に感じました。事実質問で自分が問題だと思っていたことを細かく聞いてもらえたことで、「話を聞いてもらうことが嬉しい」と気づきました。自分のことなのですっかり忘れていたことを思い出して、自分の思い込みに気がつくこともありました。学校で実際に生徒の話を事実質問で聞いてみました。発語に遅れがある生徒でも、思い出して答えてくれるので、会話がいつもより長く続きました。考えるより思い出す方が子どもにとって負担にならないことがよく分かりました。私がそう感じたように、子どもにとって自分の話したい事を聞いてもらえることは嬉しいですし、聞いてくれる人の話はよく聞いてくれます。(中学校教員)
  • 今回研修を受けたことで「子どもに関わる」ことについて質問の仕方だけでなく、大人のゆとり(働き方)や心のケア、大人同士のコミュニケーションをたくさんとることの重要性などにも気づきました。(NPOスタッフ)

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