住民組織「森林利用グループ」による共有林の保全と管理

ネパール:マカワンプール郡

概要急激な人口増と食糧増産のために森林が農地に転用され、森林全体の荒廃が進み洪水が多発していたマカワンプールの共有林。その地元住民で構成される「森林利用グループ」による、荒廃した森を再生し、土壌や水資源を保全・管理するためのプロジェクト。
期間2007年~2010年
場所ネパール・マカワンプール郡カリバンジャール共有林
協働者カリバンジャール森林利用グループ
ソムニード・ネパール
協力者三井物産環境基金「活動助成」
地球市民財団助成金
目次

活動内容

指導員養成研修

2007年当時は、ネパールの政情不安が続き事業地の治安も良くなかったため、カウンターパートのソムニード・ネパールの代表者がネパール人指導員となり、森林利用グループに技術指導ができるようになるため、インドの流域管理事業の現場で技術指導を受けました。

土壌保全、水資源保全に必要な技術そのものだけでなく、住民たちが考えて活動を決められるようにするためのファシリテーション技術も学びました。

カリバンジャール森林調査

森林の実態を知るために、森林利用グループメンバーで調査項目を決めて、頂上から山裾までの植物調査を実施しました。約200種類の植物が確認され、それら植物をいつ収集・収穫するのか等がわかるカレンダーを作り、利用頻度の高い植物や作業量の多い季節などを調べて分析しました。また、植物図鑑も作成しました。

森林利用グループによる村落開発計画づくり

森林の実態調査の結果をもとに、森林保全を中心とした計画を策定しました。特に土壌流出が激しい3つの川に、蛇篭(ワイヤーで作った直方体のカゴ状の枠の中に石を詰め込む)を作って設置したり、植物図鑑に掲載された植物を集落内に作った苗床で育苗し植林したりと、土壌保全・水資源保全のための活動を自分たちで考えて実行しました。

成果(何が起こった/変わったか)

この事業をするまでは「○○をしなさい」「■□はしてはいけない」と行政やNGOなどに指示されたまま活動をしていた森林利用グループでしたが、この事業で初めて「森の植物や水について考え、行動する」ことができるようになりました。
それは、蛇篭の設置や植林といった物理的な行動だけではなく、森林利用グループの規定の見直しや総会の定例化、会計記録など、自分たちの組織運営そのものにおいても当てはまります。
事業が終わった数年後(2017年)も、森の実態に合わせて規定を追加・変更したり、植林活動は必要本数を割り出してから苗床で苗を育てて植林したりと、森林保全活動を続けていました。

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