読込中

会員とサポーターの声

正会員の声:ミグリアーチ慶子さん

2014年2月にインドコミュニティファシリテーター研修の参加者としてブータラグダ村と近隣の村を訪問させていただきました。「この木はなに?何に使う?何本ある?この作物は何?自分たちで食べる?それとも売る?どこで売る?いくらで売る?水はどこから引く?1年に何回とれる?種や肥料はどうやって調達する?」……延々と続く矢継ぎ早の事実質問に間髪入れず次々と答えてくれた村の人たち。当たり前かもしれないけれど、自分たちの生産活動を完全に把握しているその姿にまずは驚愕しました。私は月々の家計の出費すらここまでは把握していない!

村の案内が終わってからは、「豆の袋を頭の上に載せて歩いてみる?」とからかわれたり(当然できない。やってみたがよろよろして立ち上がることすらできない。無謀だった。)、トラックの荷台に鈴なりになって共同の粉ひき所に向かおうとしていたおじさんたちに写真撮影をせがまれたりしました。おじさんたちはみんな南インドの伝統服の裾を作業しやすいようにたくしあげていて、カメラを向けるとかっこよくポーズをとりました。そこには「ドナーの顔色を伺いそつなく立ち回る、卑屈な、またはかわいそうな途上国の人々」の姿はありませんでした。「俺たち、私たちのやり方を教えてやるよ。」とでもいうような自信と誇りが伝わってきて心がふるえました。この周辺の村ではそれぞれの村が得た技術や知識を近隣の村に教えあっています。安全で安定した、自立した農業とそれを可能にする環境の維持は一つの村だけではできないからです。

ブータラグダ村をはじめ先陣を切っている村がここまでくるのに、並々ならぬ努力が辛抱強く重ねられてきたことと思います。その努力は今も続いています。私が滞在した短い間でも、ちょっとした夫婦喧嘩があったり、堆肥作りに使うミミズが気持ち悪くキャッといって尻込みしたり、おしゃれな若者たちは親の農作業を手伝うよりバレーボールに夢中になったりしていました。そんな小さいあれこれがあっても、村の人たちが村の将来像を共有し、そこに向かって少しずつ前進していくことを心から応援しています。

種取りのできないF1種と土地に高い負荷のかかる農薬、肥料のセット販売、安全の確認できない遺伝子組み換え種の押しつけ、農家の種取りを違法とする種子への知的財産権付与など、大企業のきな臭い動きを耳にします。土地固有の多様な在来種を守り、安全で自立した農業を、自分たちのやり方で孫の代のもっと先まで続けていけますように。そうしたいという村がもっと増えていきますように。心をこめて祈り、メッセージに代えたいと思います。

copyright © ムラのミライ