【プロジェクト概要】セネガル 農村で暮らし続けるためのファーマーズ・スクール

In 2 活動, 22 プロジェクト概要 by master

水資源が枯渇し、農業では食べていけなくなった若者が海外へと流出している、西アフリカの国セネガル。そんなセネガルで、農村に住む若者たちが水と土を守り、活用する農業を学ぶことで、彼らが出稼ぎに頼らず、食べていける暮らしを目ざすプロジェクトです。

期間  2017年2月1日~2020年1月31日(実施中)
場所  セネガル共和国ティエス州ンブール県ンゲニエーヌ行政区
協働者 アンテルモンド(Intermondes) *セネガルのNGO/NPO
協力者 JICA「草の根技術協力事業パートナー型」
ムラのミライ担当者 和田信明中田豊一前川香子菊地綾乃
形態  アンテルモンド・ムラのミライの協働プロジェクト
プロジェクトの様子がわかるブログ記事はこちら

事業概要

ンゲニエーヌ行政村の主な産業は農業ですが、この地域は年間雨量が比較的少なく、土壌や地下水の塩化が問題となっていました。しかし、政府や海外の援助も限られており、大規模な灌漑設備を投入することが難しい状況から、雨季の天水農業の比重が大きく、農業活動は気候変動による降雨量の増減に大きく影響されていました。
また、農家を営む人々も農業生産に必要な水の量や土壌の現状、農業に利用できる自然資源をマネジメントの視点で認識できている人は少なく、自分たちの栽培作物の生産高やそこから得られる利益、必要な収入に見合う投入など、農業経営の知識と技術も不足していることがわかりました。
上記のように、農村での就業機会が特定の期間に限られ、生産も天候に左右されるという不安定さから、また自分たちが農村で生きていくための農業や資源のマネジメント技術の不足から農家経営が不安定になり、農村部の人口が都市部や海外へ流出するという状況でした。
そこでムラのミライは、資源活用農法に関するこれまでのプロジェクト経験を活かし、農村部の若者に対して、みずからが村の現状を認識し必要な行動が取れるように促しつつ、自然資源を生かした農業経営の知識と技術を強化する事業を行うことにしました。

2018年度の活動報告

保水土対策

事業を始めた頃には、研修生から「村には水がない」という声が聞かれました。しかし、それぞれの村の中をみんなで歩いて観察したり、何十年も前の村の様子を思い出したりすることで、以前は村に水が豊富にあったとわかりました。たとえば、ある村では40年前には象が存在していたこと、象は1日に100Lもの水を飲む事実を確認しながら、昔は水があったと気づきました。
そこで、村から水がなくなった理由は何なのか、そのために村人たちが何か対策をしてきたのかを聞いていくと、水が少なくなったことに対して何も対策をしていなかったことに気づきました。このままでは村の存続の危機にもなる、と農民たちが認識すると、雨水を地中に蓄える方法について自ら議論し始めたのでした。

水やり

事業開始時の研修では、畑への灌水の時間帯は、農民によってそれぞれ異なっていました。朝にする人もいれば、午後や夕方にしている人もいたのです。研修では、それぞれの水やりの時間帯を聞いた後に、水やりの水を植物が吸収するまでの水の動きのメカニズムを説明しました。そうすると、朝に水やりをするのが一番効率がよいと、研修参加者は気づいていきました。ある人は言いました。「僕は、学校教育を受けた。けれど、今までまるで無学の人のような働き方をしてきたということに気づいた。今やっと、毎日何をすべきなのかが分かった」
研修後に実践をしてみたことで、確かに朝に水やりしたほうが水を節約できること、そして草などで土を覆うことで保水ができて節水になることなどを新たに発見した人もいました。

農業経営

ある研修参加者は、これまで玉ねぎを毎年栽培し、多くの量が採れていたので、村人たちから羨ましがられていたそうです。しかし、研修で演習した農作業の収支計算をしてみたところ、実は利益は多くなく、赤字に近い数字でした。「計算をしてみたことで自分の利益がどれくらいあるのかが初めて分かった」。次回作付けする時には、より利益が出るように、投入量や作物の種類を変えるなどの工夫をすることができそうです。

2019年度の活動予定

昨年までに実施した研修を土台として、学んだことや実践を自分の言葉で伝えていく指導員を育成する予定です。
これまでに研修で学んできた、土と水の保全という観点を大切にしながら、指導員たちが地域の実情を考慮した村人たちとの関わり方ができることをめざします。特に昨年は降水量が少なく、乾季の栽培を断念した研修生もいましたが、そういった研修生に対して、農民たちのつながりを通して農業の知恵や工夫を共有したり、栽培以外の活動の可能性の気づきをもたらしたりする機会作りをしていきたいです。
農民同士の関わりや、やり取りの中で指導員自身も気づくことがあるかもしれないし、それぞれの持っている経験や知識が強化されることを期待しています。