第23 号 わずか4 グループの連合体が、2 か月間で16 グループに! ~銀行業をはじめたい!団体登録までの道のり~ (2006 年7 月31 日発行)

In 805プロジェクト通信 インド「PCUR-LINK便り」 by master


VVK 加盟グループが4つからスタートした新規グループのリクルート。7 月末には、毎月の新グループのリクルートの成果があり、16 グループになったVVK。団体登録の方は、しっかり書類も揃え、ビシャカパトナム県の組合登録事務所に出かけていったオバチャンたち、をお伝えするのが今日のご報告。VVKは、2005 年3 月にアンドラ・プラデッシュ州ビシャカパトナム市で、発足したスラムのオバチャンによるSHGの連合体。発足前から、2004 年7 月のPCUR-LINK事業開始以降、ソムニード(現ムラのミライ)が実施する様々な研修を通じて、まずは個別のSHGのマネジメント技術を習得し、事業開始から2年間で、個々のSHG内での資金運用能力を飛躍的に向上させた。わずか月30 ルピーほどの貯蓄しか資本のなかかった彼女たちが、外部の銀行等からの融資に頼ることなくグループ内での「借りる、返す」を繰り返し、帳簿をきちんとつけた結果、グループのキャッシュフローが向上したのだった。VVKに加盟していないSHG、もしくはVVKに加盟している2 年前のオバチャンたちのSHGの様子は次の通り。。。
☆銀行や、地元政府が年に1 度や2 度、政治家のキャンペーンに合わせて、ローンをSHGに貸し付けてくれるのを、口を開けて待っているだけ。欲しいときにお金はもらえないが、何も貰えないよりは、マシ、貰えるものは貰っておこう、くらいの気持ちで、SHG内だけの資金運用なんて無理だっと思っていた(いる)。
★銀行による数々の嫌がらせ。。
10,000 ルピーのSHGの貯蓄を銀行に預けておく、という条件で、50,000 ルピーを貸し付けたり、銀行がSHGへ支払う利子の金額を公開しなかったり、年度末になっても、SHGの貯蓄に対する利子を支払わなかったり、SHGが融資を受ける際は必ず、1 週間毎日のようにSHG代表メンバーが銀行に呼び出されたり。。。
☆SHGのオバチャンたちに一番身近で、一番親切なのは地元の高利貸し(いつでも喜んで貸してくれる)。しかし、親切なのは借りるときだけで、高利子のその取り立ては厳しい。
★SHGを利用した、政府未承認のノンフォーマル銀行が大流行したアンドラ・プラデッシュ州。即座に5,000 ルピーを貸してくれるが、5 回か10 回の返済で返せない場合は、家財道具まで持って行かれ、借金苦に自殺する女性が急増。高利貸しと違うところは、個人でなくSHGに貸し付けたという点で、VVKオバチャンたちも何人か手を出してしまう。(※しかし、近隣のスラムで自殺者が出たとたんVVK内で情報を共有し、SHG内でローンを組んで、すぐにノンフォーマル銀行に返済する、という迅速な対応を取った。)
☆アンドラ州政府が推進するスキームで、SHGやその連合体MACS(相互扶助組合組織)に団体登録しなければ、道路も学校も家の新築も補助金がもらえない、と脅かされる。実際は、SHGを作って、また複数のSHGの連合体で団体登録(MACS)に登録してはみても、帳簿のこともローンのことも誰も教えてくれない。また政府が推進するスキームで、SHGを作ったら、家の新築のための補助金がおりたが、補助金の3 分の1は、キックバックとして地元の役人のポケットへ。。。月に一度、どこからか政府の委託を受けたというNGOのスタッフがSHGにやって来て、お金を集め、勝手にグループの帳簿をつけて帰ってゆく。このNGOスタッフに、50 ルピーを毎月サービス料としてSHGから払っているけど、ローンがいつ貰えるのかも、SHGや連合体に入っていて、ナンの得があるのかも、誰からも教えてはもらえない。。。
こんな現状を打開したVVKのオバチャンたちは、今でもなんだかんだと日銭に困ってはいるけど、PCUR-LINK事業の数々の研修の成果で、自分のグループ内のキャッシュフローがよくなり、年に何度も自分のSHGからお金を借りられるようになったオバチャンたち。次なる課題は、自分たちの銀行!複数のSHGが集まって銀行を設立すれば、個別のSHGだけでは扱えない金額が、自分たちの手で管理できるようになる。そこで、あれこれみんなで調べた結果、複数のグループによるSHGの連合体で銀行業を行うには、アンドラ州政府の場合、政府へ団体登録をしなければならない、ことがわかった。それがMACS「相互扶助組合組織法」で、VVKは、MACS「相互扶助組合組織法」に登録すべく、活動を開始した。膨大な団体登録に必要な膨大な書類を抱えて、(とにかく英語&テルグ語両方で、膨大な量の申請書!)ビシャカパトナム県の組合登録事務所に出かけて行った。
◇登録事務所スタッフ:「VVKというのはいつから活動してるの?」
●VVK代表ビジャヤラクシュミ:「2005 年の3 月からです!最初7つのSHGで発足して、その後、色々あって4つのSHGだけになってしまったけど、5 月、6 月でSHGの数がどんどん増え、7月末には16 のSHGが加盟しています!いよいよ自分たちで銀行業をはじめたいので、団体登録に来ました!」
◇登録事務所スタッフ:「あんたたち、VVKの会則はあるの?」
●ビジャヤラクシュミ:「ハイ、この小冊子を見てください!VVKメンバーは全員、この会則の小冊子を持っています!なんと言ったって、11 か月もかけて、自分たちで会則を作ったのですから、代表メンバーの全員が会則を理解してますよ!4 月には会員総会も開いたのですよ!」
◇登録事務所スタッフ:「すごいねえ。もう会員総会も開いて、会則の小冊子まであるのかい?ところで、団体登録用の申請書類を見せてくれるかな?」
●ビジャヤラクシュミ:「どうぞ。」(ドサッと膨大な申請書類を差し出す)
◇登録事務所スタッフ:書類をパラパラと見て。。。「すごいねえ、全然、書類に不備がないねえ」
※(後でビジャヤラクシュミから報告を受けたソムニード(現ムラのミライ)スタッフ心の声):そーだろう、そーだろう!JICAへの提出書類で鍛えられているソムニード・スタッフも、VVKのオバチャンと一緒に作った書類だもんね、エヘン。
●ビジャヤラクシュミ:「じゃあ、団体登録の申請書を受け付けてくれますか?」
◇登録事務所スタッフ:「でもねえ、君たち政府のスキーム(プログラム)の下で、設立されたSHG連合体でないのだろう?ちょっとねえ、君たちの活動を認めるのはねえ。。。。」
●ビジャヤラクシュミ:「そんなー、書類は全部整っているのでしょう?」
◇登録事務所スタッフ:「そうだ、ビシャカパトナム市都市計画部の人から推薦状もらって来なさいよ。そうしたら登録を認めてあげるからさ。」
●ビジャヤラクシュミ:「・・・・・・」
その日は、VVK事務所に戻る。
※政府の推薦状がなければ団体登録できないとは、何処にもMACS「相互扶助組合組織法」には、書かれていない。登録事務所のスタッフは、登録を申請してきた団体の能力を査定し、登録するか、しないか決定するのが仕事なのに。アーンドラ・プラデシュ州のSHGの多くが、MACS「相互扶助組合組織法」に登録されているが、その多くが政府から雇われているNGOスタッフが会則を作成し、SHGメンバーの誰も、会則の中身も知らず、ただ言われた通りにSHGの代表が署名して、団体登録しているケースが大多数。登録事務所に団体登録の申請に行くときもNGOスタッフは同行し、担当官の質問に答えるのは、NGOスタッフで、オバチャンたちは「団体登録の意味」も把握していない場合がほとんど。また政府のスキーム(プログラム)でもなく、NGOのスタッフも付き添わず、自分たちだけで登録事務所に申請書を持ってくるスラムのオバチャンなんて、今まで誰もいなかった様子。しかも、登録事務所の担当官の質問にすべて堂々と答えることができるオバチャンたちなんて皆無だった様子だ!
VVK事務所に戻ってきたビジャヤラクシュミVVK代表は、他の3 名の代表メンバーと相談し、ビシャカパトナム市都市計画部にも出かけるが。。。
●ビジャヤラクシュミ他VVK代表メンバー:「あのー登録事務所からここで推薦状をもらってくるように言われてきたのすが、私たちVVKが団体登録するための推薦状を書いてくれないでしょうか?」
▽ビシャカパトナム市都市計画部:「何で、ボクがアンタの団体を承認しなくちゃいけないわけ?なんかキックバックあるわけ?(間接的に)団体登録に、ウチらや、市役所の推薦状なんて、必要ないんだよ。直接、登録事務所に行けばいいじゃないか?」
●ビジャヤラクシュミ他VVK代表メンバー:「アタシたちも推薦状が必要だとどこにも法律に書いてないから、直接、登録事務所に行ったのですよ。そしたら、ここで推薦状貰ってこい、登録事務所の人に言われて。。。」
▽ビシャカパトナム市都市計画部:「なんだかんだと登録事務所のやつ、自分たちだけでSHGの連合体を査定して、問題があったときに嫌だからって、俺たちを巻き込もうとするんだ。いいかい、必要ないんだよ、推薦状なんて。さあ忙しいのだから、帰って、帰って。」
そこで、ビジャヤラクシュミ、また登録事務所に出かけて、都市計画部で推薦状が貰えなかったことを報告。
●ビジャヤラクシュミ:「都市計画部では、団体登録に政府機関からの推薦状なんて要らないって言われたんです。今日も申請書類を持ってきましたから、書類を受け取ってくれないでしょうか?」
◇登録事務所スタッフ:「まあそれはそうなんだけどさ。ほら、ナンかアンタたちのバックにNGOとかいないの?そのNGOの人を登録事務所に来るように言ってよ。」
●ビジャヤラクシュミ:「どうしてですか?」
◇登録事務所スタッフ:「だって、そのNGOがアンタたちのVVKへの支援を止めたら、アンタたちの活動が終わり、なんてことになったら、登録を許可するボクの責任になってしまうのよ。そのNGOから“VVKは、ずっとワタシのNGOが支援します”みたいに一筆書いてもらえないの?」※
●ビジャヤラクシュミ:「ソムニードの人たちは、言えば来てくれます。でも、資金の支援は最初から2007 年6 月末のJICAの事業終了時まで、だって言われています。そのつもりで、私たち今、新しいSHGをVVKのメンバーにしよう、と頑張っているのです。他所からの支援に頼ってしか活動を続けられない状態は嫌だから、自分たちのVVKで銀行をやりたいんです!だから、申請書類を受け付けてください!」
◇登録事務所スタッフ:「アンタたちさあ、政府のスキームの下で団体登録しないと、 道路とか学校建設とか、家の補助金とか出ないよ。どーするの?だからさ、政府が推進するSHGに入ってさ、それから連合体作って、団体登録したら?こんな風に自分たちだけで直接、登録しに来ないでさ。」
●ビジャヤラクシュミ:「アタシたち、道路とか学校建設とか、家の補助金とかそういうことは今はいいのです!今は、自分たちの銀行、VVK銀行を設立したいのです!だから、団体登録が必要なのです。どうか団体登録の申請書類を受け付けてください!VVKが信用ならない、というなら、いつでもVVK事務所にきて、金銭出納帳でも銀行通帳でも、仕分帳でも、2005 年度の年次報告書類でも何でも見てください」※※
◇登録事務所スタッフ:「まあまあ、ボクも同僚と相談してみるから、また来週来てください。」
※そもそもNGOがずっと支援することが条件で、MACS「相互扶助組合組織法」法に登録するなんて、どこにも法律に書かれていないし、そういう趣旨で法律があるのでは決してないはずなのに。。。
登録事務所スタッフが心配しているのは、これまでアンドラ州政府のスキームの下に、マッシュルームのように次々と連合体が結成され、その団体登録を認可してきたのが、その団体の多くが、政府のスキームでの支援が終わると同時に活動を停止しているという事実が山積みだから、だ。ひどいところでは、団体登録時に、保険料や会費だ、月別貯蓄だと、お金を回収しにきたNGOのスタッフが、政府からの委託金がNGOに支払われなくなった途端、そのお金を持って逃げてしまったとうケースも有り。また、保険料を払ったにもかかわらず、SHGメンバーが亡くなってもまだ政府のスキームで登録された団体に所属するSHGのオバチャンの家族に、保険料が支払われたという話はどこからも聞かない。
※※これだけの帳簿や報告書類をSHGのオバチャンたちが自分たちだけで作成し、その維持管理をしているSHG連合体なんてビシャカパトナムにはどこにもないし、州全体でも一体どれだけあるか。。。
また別の日の登録事務所。。。。
●ビジャヤラクシュミ:「また来ました!今日は、申請書を受け取ってくれますか?」
◇登録事務所スタッフ:「アンタたちもしつこいねえ。まあ書類だけは受け取るよ。これは、ボクは君たちの団体登録を無視しているわけじゃない、ってことだからね。でも申請書類を受け取るイコール登録をする、ということじゃないからね。ずっとこの申請書類がボクの机の上にのったまま、ということもあるんだからね。」
●ビジャヤラクシュミ:「・・・・・」
まずは申請書と登録事務所に提出することだけは出来たが、嫌がらせはまだまだ続きそう。
7 月だけで4 回も登録事務所に足を運んだ代表メンバー。7 月28 日のVVK定例ミーティングでも登録状況を報告し、8 月も継続して団体登録を目指すと宣言したオバチャンたち。8 月2 日には代表メンバーで作戦会議を開き、どうやって登録を認めてもらうか話し合う予定。
7 月、6 月の新SHGのVVKの加盟に向けての働きかけの効果が現れはじめ、7月末にはVVK加盟SHGが16 に!来年3 月末までにVVK加盟グループを40 にする、という目標に一歩一歩近づいている。
普段は10から15 人くらいしか参加しない毎月28 日のVVK定例ミーティング。7 月28 日のミーティングには、なんと50 人近くが参加。新しくVVKに加盟したSHGのメンバーが、定例ミーティングやVVK事務所を見学に来た、というもの。10 時から11時のミーティング開始時間に、次々とオバチャンたちが「ここがVVKの事務所かね?」とやって来る新しいメンバーたちの姿に、VVK代表のビジャヤラクシュミや他の代表メンバーはとっても嬉しそう。この1 か月間、団体登録のために気力&体力を消耗していただけにその喜びはとても大きい。
☆ビジャヤラクシュミ:「プロマネ!見てよ、見てよ、こんなにたくさんの人がVVK に来てくれて、アタシは嬉しいわ!」
●プロマネ:「ワタシも嬉しいわ!これもアンタたちの努力の成果よね!」

20050811

ここで、2 人は喜びの笑顔でお互いの腕をブンブンと振り合いながら握手。この日のミーティングには、ソムニードの高山事務局の高田尚子さんが、ソムニード「クラフト素材ビジネス」を、VVKオバチャンに提案。高田さんのプレゼン中、ビジネスの実施フローの部分ではボーッとしていたオバチャンたちだが、年間の利益試算の話になった途端、目を輝かせて。。。。(まあ全く、なんてわかりやすいのでしょうねえ。)
さてさて、オバチャンたちは、新たなビジネス・チャンスを理解し、活用してゆくことができるか?
団体登録は?
規模が大きくなったVVKの新たな運営は?
銀行業スタート準備は?
新たなグループへの研修は?
生産・物流センターの活用は?
まだまだ色々ハードルはあるのだけど。。。VVKのオバチャンたちは気づいていないかもしれないが、新しくVVKに加盟して、“自分たちのグループを自分たちで運営してゆこう”と決めたこと自体が、もう今までの「施しを待っているオバチャンたち」ではないのだ。登録事務所にはソムニードのスタッフの誰も付き添って行っていない。だから上の登録事務所や都市計画部の担当官とのやり取りは、後からビジャヤラクシュミ他、VVKのオバチャンたちから聞いたものだ。ビジャヤラクシュミもそのほかの代表メンバーのオバチャンたちも気づいていないと思うけど、彼女たちが私たちに登録事務所での話をしてくれる顔は、自分たちで自分の運命を決めるという意志を持って、しかも1 人じゃないんだ、VVKという仲間と一緒なんだ、という自信を持って「闘う顔」だった。彼女たちの顔は、2 年前と全く違う。
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