第18 号 ドーンとやってみました、サリービジネス! (2005 年2 月4日発行)

In 805プロジェクト通信 インド「PCUR-LINK便り」 by master


 

「サリービジネス」という今回の本題の前に、VVK ミーティング初の不成立のご報告。毎月28 日はVVK 定例ミーティングの日、と自ら決めたオバチャンたちであったが、この12 月28 日、はじめて参加人数不足のため、定例ミーティングがキャンセルになってしまった!
2005 年12 月28 日 VVK ミーティング初の不成立(出席人数定数に満たず!)

2004 年3 月に、7つのSHG による連合体が設立されて以来、生まれて初めて自分たちの「組織」運営に乗り出したオバチャンたちは毎月、2 回も3 回も自主的にSHG ミーティングを開き、研修に参加し、プロジェクト事務所にでかけ、本当に一生懸命にVVK(SHG 連合体の名前)を育てきた。その様子は、JICA ホームページ「プロマネの1 日」で少しお伝えしたが、スタッフの方が、「もうちょっと休んだら?」とか「そろそろ事務所を閉めて、帰ろうよー」と言うくらいの勢いで、このままの調子で、突き進んだら「燃え尽き症候群」でプロジェクト終了までの3 年を待たずに、VVK 総倒れになって連合体解散!なんていう事態が生じないか、と不安に思っていたスタッフ一同。
そんなスタッフを安心させるかのように?、この12 月VVK 設立以来、初めて出席人数が21 名中、9 名しか集まらず、第11 回定例ミーティングが不成立という事態が発生。午前10 時から始まるミーティングなのに、11 時になっても、11 時半になっても、12 時になってもミーティングに参加したのは、4つのSHG から9 名のみ。プロジェクト事務所の入り口の「キーッ」とドアの開く音がする度、ドアの方を見ては、ため息をつく参加メンバーオバチャンたち。遅れてくるとも、欠席するとも言わないで無断欠席したグループが7 グループ中、3 グループ。10
時10 分前には、プロジェクト事務所に来て、椅子や机をアレンジして、ミーティングの準備をしていたオバチャンたちはとても暗い顔。
もちろん、スタッフだってオブザーバー参加している手前、10 時5 分前には事務所に来て、メンバーが集まるのを待っていたのだが、参加人数は12 時の時点で9 名のみ。それもそのはず、12 月は、JICA スタッフによる調査やアクシャヤ銀行のオバチャンたちがビシャカパトナムを訪れたり、その準備をしたり、とにかくもう研修やら、なんだ、かんだ、と11 月から通算すると、多いオバチャンで一週間に3,4 日もプロジェクト事務所に顔を出していたのだった。オバチャンたちの多くは、VVKの組織を育てている!という面白さ一杯で、事務所に来るのも、自分のSHG 以外のグループのスラムを訪れ、ミーティングをモニターするのも楽しくて仕方ない、といった状態だったのが、交通費がプロジェクトから支給される以外は、日当も給与も出るわけでもなく。。。
あるオバチャンなどは、夫に「なぜ、金にもならんVVK の仕事を毎週のようにしてるんだ!もうVVK 事務所にも研修には行ってはならん!」と殴られてしまった人もいるとか。暗い気持ちで、そんな話を聞きながら、11 時くらいまでは「まだ誰かは来るだろう」とドアを見ながら待っていたプロマネ。夫に妻が殴られるなんて日常茶飯事のこととは分かっていても、やっぱりこのプロジェクトが関係していると思うと、気分は落ち込んでくる。そんな暗い気持ちを隠しつつミーティングが始まるのを待っている間にオバチャンたちと話すスタッフ。
▲プロマネ:「もう10 時半だけど、ミーティング、どーするのよ?9 人で4つのSHG からの参加者しかいないけど、定例ミーティングするの?」
☆ラウランマ(VVK 代表):「11 時まで待って、もう来なかったら、第11 回ミーティングは不成立にするわ。だってたった9 人で、4つのグループからしか来てないんだもの。」
▲プロマネ:「アンタたち、だいたいミーティング成立、不成立の規則もないんだよね。一体、いつになったら会則を制定するの?会則、作る気あるの?」
◎オバチャン1:「あーそうそう、会則ねえ、忘れてたわあ。」
△ラマラジュー(ソムニード(現ムラのミライ)・スタッフ):「これを機会に、月別定例ミーティングが成立するための最低参加人数を決めたら?」
○オバチャン一同:「賛成!今日、その定数を決めて、1 月のはじめに再度、ミーティングを招集して、その時、議決しちゃいましょう!」
★オバチャン2:「7つのグループから各3 名出席して、21 名出席していなければいけない月別定例ミーティングでは、最低5つのグループから9 名は出席しないとダメということにしようかあ?」
●オバチャン3:「そうねえ、今すぐ会則は決められないけど、次の1 月の臨時ミーティングのときに、せめてミーティングの定数だけは決定しよう!」
☆ラウランマ(VVK 代表):「それじゃあ1 月はいつ集まる?28 日の定例ミーティングまで待つ?」
▼オバチャン4:「いや、そんなに引き延ばしたら、また忘れちゃうからさ、1 月6 日くらいに、ミーティング開こうよ。」
○オバチャン一同:「そうしよう、そうしよう。ポンガル祭り(ヒンドゥー教の祭りでビシャカパトナムでは年間で一番大きなお祭り。スラムに暮らすオバチャンたちは、祭りの間、故郷の村に戻る人も多い。)も始まっちゃうしね。」
☆ラウランマ:「今日は、定例ミーティングは出来ないけど、サリービジネスをいよいよスタートさせるから、その議題を取り上げるわよ!」
◎オバチャン5:「そうねえ、人数が揃わなくて、ミーティングができなかったおかげで、定数を決めるルールも次回のミーティングで提案することになったしね。幸い、サリービジネスにやる気のあるグループは今日だって参加しているもんね。」
★オバチャン6:「あの、夫に殴られちゃったメンバーだって、うちだって同じようなことはあるからさ。まあ、しばらく夫の怒りが冷めるまで、放っておけばいいよ。VVK ミーティング来られないなら、それでもいいじゃん。そのうち来られるようになるって。」
○オバチャン6:「そうそう、夫の理解のないのなんて、うちだって同じよ。理解のないのは義母も一緒。この間、うちの義母に“なんでローンも、家も、道路も援助してくれないようなNGO のミーティングに何度も行くのよ?”って聞かれたのよ。それで“アタシはそんなのが欲しくてソムニードやJICA と一緒に事業やってるんじゃないわ。アタシはVVK という学校に通っているのよ、学校でSHGの運営のこととか、生産・物流センターの運営こととか、他では誰も教えてくれないことを学んでいるのよ、だからすごく楽しいわよ”と言ってやったわ。そしたらそれを聞いていた義理の妹がね、“アタシもそんな学校に行きたいわ”と言ってたから、“アンタ、SHG に入っているんだったら、一度SHGのメンバーと一緒にVVK のミーティングにおいでよ”、と言っておいたわ。」
☆ラウランマ:「そうね、そろそろ新しいSHG も勧誘してかないといけないし。あーっ、また話が逸れたけど、今日は絶対ぜったーい、サリービジネスをスタートさせるわよ!ポンガル祭りが近づいているから、もうこれ以上、祭りのときにサリーを新調するSHGメンバーを対象にしたサリービジネスを遅らせることはできないわーっ!」
とという調子で、VVK 定例ミーティングの定数が揃わず、ミーティング不成立という事態をエネルギッシュにクリアーして、「出席人数が少ない」という暗い雰囲気を吹っ飛ばしたオバチャンたち。アーンドラ・プラデッシュ州では最も大きなヒンドゥー教のお祭り「ポンガル」(今年は1 月12 日から16 日まで)では、所得の高低にかかわらず、多くの人が、年に1度、服を新調する。その機会を狙えば「サリービジネスは絶対、損失がない!売れないわけがない!」という信念のもと、2つのSHG がまずビジネスに投資することを提案。この2つのグループ、SHG 内での資金回転(グループから借りて、返す)を定期的に繰り返すというPCUR-LINK 事業を通じた、数々の研修を受け、実践した結果、グループが金貸しとして効率よく利子をかせぎ、グループの回転資金が豊富になったのだった。
そこで、シッディヴィナイカ・グループは1 口5,000 ルピーの投資額のうち2口の10,000 ルピーを、Ma16というグループは、1 口5,000 ルピーの投資をし、VVK 初の自己投資によるビジネスをスタートさせることになった。
△ラクシュミ(Ma16):「まあサリーが売れ残って損失がでるということはないだろうけど、損失がでたときは、この2つのグループでカバーしましょうね。もちろん利益はこの2つのグループで分けましょう!」
☆ラウランマ(シッディヴィナイカ):「じゃあ早速、明日Ma16から2 名、アタシのグループから2名の合計4 名で、ヴィジャナガラム(ビシャカパトナムからバスで1 時間ほどの有名なサリーの卸問屋町)に仕入れに行きましょう!」
△グナラクシュミ(Ma16):「これってVVK の最初の商売じゃない?だから、神さまにお祈りした方がいいと思うのよ。今日の夜、カナカマハラクシュミ寺院で祈祷してもらってから、ヴィジャナガラムに買い出しに行きましょうよ!」
◎Ma16&シッディヴィナイカ・メンバー一同:「そうしましょう!そうしましょう!」
△ラクシュミ(Ma16):「そこで、お参りに行くのは寺院から家が近いアタシとグナラクシュミが行くから交通費は要らないのだけど・・あのー、カナカマハラクシュミの寺院にお供えするココナッツとかサリーとかに100 ルピーくらいかかるのね、それって投資額15,000 ルピーから出してもいいからしら?」
◎Ma16&シッディヴィナイカ・メンバー一同:「もちろん、出しましょう!」
☆ラウランマ(シッディヴィナイカ):「それでは、決定!明日29 日の午前10 時にプロジェクト事務所に集合して、卸問屋にサリーの仕入れに行きましょう!そこで、ソムニード・スタッフのラマラジューさん(ヴィジャナガラム出身)にお願いですけど、初めてのサリー買い出しで不安なので、明日だけは、最初ということでヴィジャナガラムについてきてくれないかしら?」
△ラマラジュ:「いいですよね?プロマネ?」
▲プロマネ:「最初だからね、まあいいでしょう。」
☆ラウランマ(シッディヴィナイカ):「わー嬉しいわ。え、何、プロマネもついてきたい?いいですよ。連れて行ってあげますけど、プロマネ、車で来てくれると嬉しいわ。ほら、最初の商売だし。」
▲プロマネ:「車で行くのは最初だけよ。商売は厳しいんだから、誰にも頼ってはダメよ。(な~んて言いながら、プロマネ、商売の経験ナシ。)今回は、スタッフの卸問屋視察ということでラマラジューと私が車で行きますけど、今回だけですよ。いいですか、商売は厳しいのですよっ!!」
△ラクシュミ(Ma16):「わーい!嬉しい。これで交通費が助かったわあ。」

20050223

この時点で、商売の厳しさを知っているスタッフもオバチャンもゼロ。だいたいNGO のやっている多くの「収入向上事業」とは、「収入向上事業」という名前がついているから紛らわしいだけで、要はビジネス。ビジネスなんて成功する人の方が少ないんだから、素人がいきなりビジネスに参入して、成功する確率なんて限りなくゼロに近いはず。VVK のオバチャンたちは、ポンガル祭りが間近に迫った今頃、問屋に行ってサリーを仕入れて、損失がでない方がおかしい、というのは、商売ど素人のプロマネでもわかる。しかし自分たちのSHG 経営の成功によって生み出した利益の10,000 ルピー、5,000 ルピーを(合計で4 万円くらい)投資して、ドーンとサリービジネスやってみよー!というオバチャンたちの勢いに水をさすのは野暮というもの。オバチャンご一行様、明日はヴィジャナガラムへ・・・

ポンガル祭りまであと14 日!2005 年12 月29 日
午前10 時にプロジェクト事務所に集まったオバチャン4 名プラス、プロマネ&ラマラジュー。
▲ラマラジュ:「さあ、みんな揃ったところで、出発しましょうか?ところで、ビジネスで損失がでたときにどうするか、どういう割合で利益を分配するか、ガイドラインは決めたの?」
◎仕入れ組オバチャン4 名:沈黙・・・・
△プロマネ:「えーっ!?アンタたち、まだカナカマハラクシュミ寺院にお供えするココナッツとサリー以外のコスト計算してないの??」
◎ラクシュミ(Ma16):「エッ?なんかそれ以外にコストかかるの?だって、今日、みんなで車でヴィジャナガラムに行くから、交通費要らないじゃない?」
それから、利益の分配やコスト計算などに費やすこと、2 時間。「今日は卸問屋にサリーを買いに行くだけだもんねー」と思っていたオバチャンたちは、利益の分配や販売などのルールを決めるガイドラインを作成、そしてコスト計算と、サリー仕入れ後の在庫管理表などについて喧々囂々と話し合い、決まったのが次のルール。

サリービジネス・ルール <2005 年12 月29 日VVK サリービジネス・グループ策定>
その1:2つのグループが投資した10,000 ルピー(シッディヴィナイカ)と5,000 ルピー(Ma16)には投資金額に応じて、1 ヶ月間に1.8 パーセントの利子がつく。
その2:経費を全て除いた純益のうち、75%は投資したグループへ、25%はVVK の利益として分配される。
その3:サリーを売ったシッディヴィナイカとMa16 のメンバーはそのコミッションとしてサリーの売値の5%を得る。
その4:サリーの仕入れに携わったメンバーにはその報酬として1 人あたり1 日100 ルピーが支払われる。
その5:サリーの仕入れに携わる市内の交通費は一律1 人あたり1 日20 ルピーとする。但し、プロジェクト事務所にある在庫を各グループのあるスラムで販売するためにかかる交通費は、各グループの負担とする。
その6:サリーをヴィジャナガラムに仕入れに行く際は、交通費は特急バス料金を、ラジュムンダリに仕入れに行く場合は、列車の普通車料金が支払われる。
その7:サリービジネスの日々の売り上げ金額を報告する際の電話代は、その2にある利益のうちVVK に配分される分から賄う。
その8:12 月29 日に仕入れた品物はその日のうちに各グループに持ち帰り、1 月3 日に再び在庫を持って、プロジェクト事務所でその中間会計報告と在庫管理を行う。
その9:シッディヴィナイカとMa16 は、在庫管理表を2 部作成し、1 部は各グループで保管、もう1部はプロジェクト事務所で保管するものとする。
その10:サリービジネス関する在庫管理やその会計帳簿付けに対する報酬は支払われない。
その11:消費者が値下げを要求してきても、価格は固定で現金商売のみ。ツケは原則的に認めない。
それから、オバチャンたちが頭をひねり尽くして考えたサリービジネスにかかるコストは次の通り。

・サリー仕入れ代:14,000 ルピー

・12 月29 日の市内交通費:80 ルピー(@20 ルピー×4 名)※ルールその5 より
・12 月29 日仕入れ参加者への報酬:400 ルピー(@100 ルピー×4 名)※ルールその4 より
・投資額への利子:225 ルピー ※ルールその1 より
・電話代・寺院へのお供え代(サリー代、ココナッツ代)など雑費:295 ルピー
合計:15,000 ルピー(投資額15,000 ルピーと同額)

△プロマネ:「コストってそれだけなの?本当にそれだけしか支出がないの?」
◎オバチャン4 名一同:「もうこれだけ挙げれば、これ以上の支出はないでしょう。(自信満々)」
△プロマネ:「在庫管理や帳簿づけには報酬もらわないって言ってるけど、大変だと思うよ、何度もプロジェクト事務所に来なくちゃいけないだろうし。仕入れだって一回でいいの?」
◎オバチャン4 名一同:「あ、大丈夫、大丈夫。最初のビジネスなんだから、あんまり報酬とったら、利益なくなっちゃうでしょ。だから、今回は無料でやるわよ、在庫管理も帳簿付けも。仕入れも1 回で十分でしょう。だって売れ残ることもないだろうし。」
△プロマネ:「ホントにホントにいいの?コストもうこれだけでいいの?」
◎オバチャン4 名一同:「もう、プロマネったら心配症なんだから。さあ、もう12 時半よ、早くヴィジャナガラムに仕入れに行かないと!帰ってきてから在庫管理表も作らないといけないのよっ。早く出発しましょー!」
何度も繰り返すがプロマネだってラマラジューだって、その他PCUR-LINK 事業のスタッフすべてがビジネスど素人である。そもそも何かのビジネスで成功していたら、今この事業のスタッフはしていなかっただろう。なので、「本当にコストはそれだけなのか?」とオバチャンに問いかけたって、説得力がないことはわかる。「何事も経験である」という言葉を支えに、オバチャン4 名とヴィジャナガラムへ、ようやく出発!
ここはヴィジャナガラムで創立400 年の歴史を持つサリー卸問屋。卸問屋の主人はラマラジュの幼なじみということもあり、VVK オバチャンたちの紹介が終わると、プロマネもラマラジュもオバチャンたちから離れて、買い付けをするオバチャンを観察。
▲卸問屋の主人:「で、アンタたちサリーの仕入れに、10 万ルピー?それとも20 万ルピー、用意
してきたの?」
☆ラウランマ:「エッ、と、とんでもない。15,000 ルピーです。」
▲卸問屋の主人:「エーエーッ、そんなわずかな金で、どうやって商売するわけ?」
☆ラウランマ:「だって、これだってアタシたちが投資できる精一杯なんです。初めての仕入れなんです。商売の仕方も分からないんです。教えてください。」
▲卸問屋の主人:「仕方ありませんね、ラマラジューさんの知り合いじゃあ。でもね、商売は商売ですからね、15,000 ルピーだって、うちも儲けさせてもらいますよ。もし売る自信があるなら、6,000ルピーくらいまでならツケでいいですからサリーを持っていきなさい。売ったら返してくれればいいですからね。」
◎オバチャン4 名一同:「ありがとうございます!仕入れ値に一体、どれくらい掛けたらよいのでしょうか?60 パーセントくらいでいいでしょうか?」
▲卸問屋の主人:「あーそんなに掛けてはダメですよ。最初のビジネスなんでしょう?20 パーセントくらいにしておきなさい。それからいくら安いサリーがいいと言っても100 ルピー以下のものはダメですよ。最初は卸値に近い値段で売り始めなさい。お客さんの信用がついて、“VVKのサリーは安くて、質がいい”と思ってもらえるようになってから、掛け率を上げていけばいいのですよ。」
◎オバチャン4 名一同:「フムフムフムフム」
結局、6,648 ルピーのツケを含んで合計101 枚のサリーと21 枚のパンジャビドレス用の布地を買うことになった。
●ビジャヤニルマラ(シッディヴィナイカ):「あの、おまけでジュートの袋を何枚か下さい。あとおまけで値札シールと、それからサリーを入れるビニール袋もおまけして欲しいのですけど。」
▲卸問屋の主人:「そんなにたくさんおまけしたらこっちが赤字になってしまいますよ。まあ今回だけはジュート袋(ビシャカパトナムのサリー店の多くがたくさん購入した客に無料でジュート袋をプレゼントする)6 枚と値札シール、ビニール袋をつけてあげますけど、今回だけですよ。」
◎オバチャン4 名一同:「ありがとうございましたー。売れたらすぐに6,300 ルピーを返しに来ま~す!」
ビシャカのプロジェクト事務所に戻ったのが午後6 時。今から、在庫表を作成し、各サリーに値札をつける作業スタート。在庫表が完成し、すべての商品の値札付けが終わり、その場に残っていたというより手伝わされていたスタッフ)に商品を押し売りし、事務所を閉めたのが午後9 時半。(プロマネとラマラジュは、“VVKのビジネスの最初の客だ☆”というオバチャンたちの甘い言葉に乗せら
れ、結局2 人で1,400 ルピー分のサリーを買わされてしまったのだった。)
1 月3 日に、売り上げ金と売れ残ったサリーを持って、プロジェクト事務所に集まることを決めて、サリーを抱えて、颯爽と各SHGに売りにでかけたオバチャンたちであった。
ポンガル祭りまであと10 日!!2006 年1 月3 日
「売れな~い!!こんなバカなー」というのが1 月3 日に、帳簿付けと在庫管理にプロジェクト事務所に集まったオバチャンたちの悲鳴であった。
☆ラウランマ(シッディヴィナイカ):「思ったより、売れないわ。101 枚のサリーのうち、なんとその半分しか売れいないのよー。」
●ビジャヤニルマラ(シッディヴィナイカ):「だいたい、現金商売ってルールを決めたのに、みん
な2 枚、3 枚買うからツケにしろって言うのよ。支払いは2 回か3 回に分けるっていうのよ。ツケでもいいっていうんだったらもう少し売れたはずよ。それにみんな激しく値切るのよ、でもアタシたち金額は固定ってルールにしたから、全然値切ってくる人には売らなかったの。それも売れない原因だわ。」
◎ラクシュミ(Ma16):「アタシら、交通費がかかるから、コバリトッタからMa8とかMa27のグループがあるランガレージヴィーディまで2 キロも重たいサリーを持って歩いて行ったのよっ!もう手にマメはできるわ、肩は痛いわ、おまけにランガレージヴィーディは坂の上だから、息が切れて、もう大変だったわー。それで売れればいいけど、誰も買わないのよー!」

◆グナラクシュミ(Ma16):「いくら利益の25 パーセントはVVK に分配されるって言っても、VVKのメンバーSHG がなかなか買ってくれないのよ。仕方ないからVVK メンバーSHG 以外のグループにも売りに行ったのだけど、そこでも買ってはもらえなかったの。ところが、VVK メンバー以外のSHG のみんながね、“VVK でビジネスをやるようになったなんてスゴイ!私もVVK メンバーに加入したいわ!”って言ってたの。これってちょっとすごいじゃない?なんかVVKが認められたみたいでアタシ、嬉しかったわ。」
◎ラクシュミ:「誉めてくれても買ってくれないのよね。ちょっとサリービジネスを始めるのが遅かったのかしら?もうポンガル祭りまで10 日でしょ?なんかサリーを売り歩いても、もうほとんどみんなどこかの店で新調していたのよ。もっと早く仕入れに行っていれば、もっと買ってもらえたのかしら?」
☆ラウランマ:「だいたいVVK にだって売り上げの一部が入るのだから、もっとVVK メンバーSHGが協力してくれると思ったのだけど、甘かったわ。それにアタシたちシッディヴィナイカやMa16の投資したグループメンバーだって、額に汗してサリーを売り歩かなくても家で寝ているだけで、純益の75%はSHG に入ってくるから、あまり売ろうとしないのよね。もう“ルールその2”は取り消しましょう!」
◎ラクシュミ:「そうね、そうしたらサリーを売った人へのコミッションが、効いて、もっと売ってくれるようになるかもね。」
◆グナラクシュミ:「アタシのグループのメンバーなんか、交通費15 ルピーもかけて、親戚の家までサリーを売りに行って、結局、売れたのは150 ルピーのサリー1 枚だけだったの。移動に1 日かかっているのよ、それでサリー1 枚だけって、採算あってないわよねえ?」
■水戸黄門さま:「おまえさんたち、汗を流して初めて、少しは商売の厳しさがわかったようじゃの?プロマネに12 月29 日に“コストはこれだけでいいのか?”と聞かれても、そのときは、“コスト”とは何かわからなかっただろう?今はコストの意味がわかったかい?」
◎ラクシュミ:「分かりました。サリーを売りにスラムからスラムに移動する交通費も計上しなかったのでサリーを担いで2 キロも歩いて、私はこの3 日間、ずっと肩が痛くて、痛くて。。。。それに1 日かけて150 ルピーのサリー1 枚しか売れないなんて、絶対採算が合わないと身体で理解しました。はあああ。」
■水戸黄門さま:「だいたい値段を固定したら、売れないじゃろう。アンタたちだって、当然、他の店では値切っておるだろうが。絶対、現金だけ、としなくても、ツケでも売っていいんじゃよ。その代わり、現金なら100 ルピー、ツケにしたら120 ルピーとか、差をつければよいのじゃ。」
◎オバチャン4 名一同:「な~るほど。」(オバチャン心の声:なんで黄門さま、そんなトリック知っているの?ひょっとして、黄門さま、商売したことあるのかも?でも、その商売に成功していたら、黄門さまビシャカパトナムでアタシたちにお説教してないわよね??)
オバチャンたち、売れ残ったサリーの一部を卸問屋に返すことに決定。とにかく12 月に定数不足で成立しなかったため明日開かれることになった定例ミーティングで、サリービジネス中間報告をすることにして、プロジェクト事務所を後にしたオバチャン。この日も午後7 時を過ぎていたのだった。

20050208

ポンガル祭りまであと6 日○×◇!2006 年1 月6 日 VVK 第12 回定例ミーティング
☆ラウランマ:「今日はまず、サリービジネスの中間報告をします。」
△ゴウランマ(Ma27):「アタシらのグループでもようやく金が集まったの。だから、1 口5,000 ルピ
ー投資するわ!今からでも間に合う?」
◎ラクシュミ:「まあいいでしょう。また明日ヴィジャナガラムにツケを返しに行こうと思っていたところだし、市内の卸問屋でもサリーブラウスの仕入れもしようと思っていたので、Ma27 のグループにも参加してもらいましょう。」
☆ラウランマ:「明日、ヴィジャナガラムにツケで買った6,648 ルピーのうち5,000 ルピーを返済し
て、しかも売れ残ったサリーを新品のサリーと交換してもらいに行きます。それはラクシュミとビジャ
ヤニルマラに行ってもらいましょう。そして、市内の卸問屋にはMa27からゴウランマとヴェンカタラク
シュミ、そして私が行きましょう。」
◎ラクシュミ:「では、12 月29 日から1 月5 日までの会計報告の発表です。」
<収入の部>A
・投資金額:15,000 ルピー(シッディヴィナイカ:10,000 ルピー&Ma16:5,000 ルピー)
・売り上げ合計:13,780 ルピー※結局、現金商売だけでは、ほとんど売れなかったため、ツケでの販売(売掛金)も含んでいる。しかしすでにこの時点で、売掛金の詳細はオバチャンたちには把握できていない。
<支出の部>B
・サリー仕入れ金額:15,000 ルピー
・サリー仕入れメンバーへの報酬:700 ルピー※※下記内訳参照。
・交通費:80 ルピー(12 月29 日分@20 ルピー×4 名)
・カナカマハラクシュミ寺院へのお供え(サリー&ココナッツ):110 ルピー
・電話代:20 ルピー
・コミッション:707 ルピー
・お茶代:58 ルピー
※サリー卸問屋でのツケでの買い物(買掛金)6,648 ルピーをすっかり忘れているオバチャンたち
※ ※サリー仕入れメンバーへの報酬:700 ルピーの内訳
12 月29 日 400 ルピー <@100 ルピー×4 名 ※ルールその4 適用>
1 月3 日 200 ルピー <@50 ルピー×4 名 ※ルールその4変則適用>
1 月5 日 100 ルピー <@25 ルピー×4 名 ※ルールその4なんとか超変則適用>

収支の差額(A-B)は、12,107 ルピーだが、売り上げ合計の13,780 ルピーの中に、どれだけ売掛金が入っているかわからないので、この時点で収支の差額を出すのはあまり意味がない。
ポンガル祭りまであと5 日▲○×◇★!!2006 年1 月7 日
▲サリー卸問屋主人:「どうだね、サリーは売れたかね?」
○ラクシュミ:「いや~商売は難しいですねえ。ようやく半分は売れたのですが・・・ポンガル祭りまであと5 日ありますから、残り半分を売り切ってしまいますよ!そこで、お願いなのですが残金の6,648 ルピーのうち、今日は5,000 ルピーだけお返しします。残額は必ず、1 月末までにはお返ししますので、もう少しお待ちください。それから、もう一つお願いなのですが、37 枚ほどどうしても売れないサリーがありまして、違うサリーと交換してくれないでしょうか?」
▲卸問屋主人:「どれどれ、じゃあその37 枚を見せてくださいよ。」
◎ビジャヤニルマラ:「あのーこれなんですけど。。。」
クシャクシャになってサリーのアイロンの折り目がついた箇所も見えなくなっている状態で、一度も誰も着ていないとはいえ、もう新品には絶対見えないサリーが37 枚。
▲卸問屋主人:「アンタたちねえ、返品して交換するなら、もうちょっときちんとサリーを扱ってくれないと、困るよ。これじゃ、返されたこっちは売れないじゃないか。そうした在庫の管理なんて商売の基本のキホンだよ、アンタたち。」
○ラクシュミ:「エーそうなんですか!?知らなかったんです。今度からは絶対、サリーの折り目をきちんとつけた状態で返品します。なので、今回だけは交換してください。必ず、すべて売り切って、残額もお返ししますから、お願いします。」
▲卸問屋主人:「本当は困るんだよね。でもアンタたちの最初の商売だから、今回は交換してあげるけど、2 度目はないからね。そんなクシャクシャのサリーは売り物にならないんだから、こっちは損をしてしまうんだよ。こういうサリーの交換はもう絶対してあげないからね。」
◎ビジャヤニルマラ&ラクシュミ:「あ、ありがとうございま~す。」
そしてポンガル祭りは終わり、1 月28 日VVK 定例ミーティング。。。
さてポンガル祭りも終わり、サリービジネス会計最終会計報告発表か!と期待していた1 月の定例ミーティングだが。。。実は、1 月28 日の定例ミーティングで会計報告を発表すべく、前日の27日に急遽、ミーティングを持ったサリービジネス・グループだが、結局、売り上げの記録が揃わず、27 日には帳簿が完成せず。ただその日、1,500 ルピーほど手元に現金があったことから、その現金を眠らせておくことはない、と新たなビジネスへと手を出してしまったオバチャンたち。1,500 ルピーで、歯磨き粉や石けん、お線香など日持ちがして、かつSHG メンバーが毎月買いそうなものばかりを選んで、翌日28 日の定例ミーティングで売ってしまおうと思っていた。
ところが、28 日のミーティングは数ヶ月間、なかなか決められなかった会則策定に関する議題が盛りだくさんで、すっかり歯磨き粉や石けん、お線香などをメンバーに売ることを忘れてしまったオバチャンたち。定例ミーティングが終わった後、とにかくサリービジネスの収支決算書を作ろうと、プロジェクト事務所に残ったラウランマとラクシュミ。

が、しかし。。。金銭出納簿と現金がどうしても合わない、しかもすべて売り切ったと思っていたサリーだが、どうも誰かがまだ在庫を抱えているのではないか、という疑惑が。。。
結局、ツケで売ったサリーの集金が終わっていないのではないか、10 枚から15 枚くらいのサリーをまだ、シッディヴィナイカ・グループの誰かが持っているのではないか、という疑惑を残し、2 人がプロジェクト事務所を後にしたのは、午後7 時半であった。果たして、サリービジネス収支決算書は出来るのか!?
この続きは2 月13 日の臨時ミーティングに持ち越されることになったのだった。
*****

プレゼンテーション1