第17 号 VVK ご意見番10 人(アクシャヤ銀行メンバー&CFDAスタッフ)参上! ~ビシャカパトナムでVVKオバチャンに再会、アクシャヤ銀行メンバー~ (2005 年1 月4 日発行)

In 805プロジェクト通信 インド「PCUR-LINK便り」 by master


12 月19 日 研修第1 日目

アクシャヤ銀行代表メンバー&CFDA スタッフ ビシャカパトナム訪問PCUR-LINK プロジェクト事務所でワークショップ第1 日目

20061211

◆ラウランマ(VVK 代表):「2004 年にアタシたちはSHG の1 メンバーとしてアクシャヤ銀行を訪れました。そしてSHG とは何か、どうやってグループ・ミーティンググを開くのか、グループの仕事を役割分担するとはどういうことか、などSHG の基礎を学びました。そして今年(2005 年)10 月に、再びアクシャヤ銀行を訪れましたが、そのときは7つのSHG からなるSHG 連合体「ビシャカ・ワニタ・クランティ(VVK)」として、その組織運営をアクシャヤ銀行から学びました。アクシャヤ銀行での研修の最終日に、アタシたちは、「各SHG の問題を、VVK を通じて解決する」と決めて、ビシャカパトナムに戻りました。
そして、SHG 内の5つの問題をまず、各SHG で解決策を話し合い、VVK で共通の規則を作り、解決しようと試みました。また11 月からは、VVK の代表メンバー3 名ずつが、7つのSHG の月別定期ミーティングに参加して、SHG の活動を相互モニタリングしました。今日から3 日間、アクシャヤ銀行の8 名の代表の皆さんと、ジャヤチャンドランさん(CFDA 代表)とサララさん(CFDA 事務局担当)
が、ビシャカパトナムに滞在され、VVK の活動をよりよくするための助言をしてもらいますが、どうぞよろしくお願いします。遠いチェンナイからようこそビシャカパトナムへ。
それでは、まずは7つのグループそれぞれに、5つの問題を話し合った成果を発表してもらいます。最初にコバリトッタ(市内スラム)のディヴィヤ・グループの人、“問題1.支払い能力を超えたローンにどう対応するか”について発表してください。」
☆スジャータ(ディヴィヤSHG):「うちのグループでは、ローンを借りる人に必ず保証人をつけようと決めました。それから、ローンを借りたい人に、そのローンの使途も聞くように。。。」
■ジャヤチャンドラン:「ちょっと、待って。まず、決めたことを1 つ1 つ細かく、分解してゆこうじゃないか。」
○オバチャン一同:「???」
☆スジャータ:「わかりました。では、うちのグループで話し合ったことを分解してゆくと。。。
(1)ローンの使途を明らかにする、
(2)ローンの使途を証明するような文書(住宅建設ならその証明書、結婚式なら招待状など)をグループに提出する、
(3)ローンを借りる人に保証人をつける、
(4)ローン貸し出しの証明書をグループが発行する、
(5)実際にローンを事前にグループに宣言した使途通りに使用しているか、グループメンバーでモニタリングする。」
■ジャヤチャンドラン:「よろしい。では次にディヴィヤ・グループ以外で、スジャータの言った(1)から(5)以外の項目を話し合ったグループがあれば、今、発表してください。」
◆ラウランマ:「うちのグループ(シッディヴィナイカ・グループ)では、スジャータの発表した(1)から(5)までは、10,000 ルピー以上のローンが必要な人だけに適用する、という規則にしたの。1,000ルピーとか3,000 ルピーくらいの少額の食料品を買ったり、子どもの授業料を払ったりするためのローンには、(1)から(5)は当てはまらないことにしたの。どうして、10,000 ルピー以上と以下にしたかというと、だいたい各メンバーの貯蓄の3 倍くらい、というのが目安になっているの。」
■ジャヤチャンドラン:「いいかい、ここで2つ話がある。1 つは、VVK の規則作り、に関して。各SHG で決めたことを、VVK に持ち寄って、さっきスジャータが(1)から(5)まで細かく分けておいてから、各項目に対して、VVK の合意を多数決でとってゆくのだ。もう1つ、ラウランマの言った10,000ルピーの話だが、“(1)から(5)までは、10,000 ルピー以上のローンが必要な人だけに適用する”ということは、裏を返せば、9,999 ルピーのローンを借りる人は、(1)から(5)までを一切問われない、ということになるが、その意味はみんなわかるか?」
☆スジャータ:「うーん、アタシのグループでは、一度(1)から(5)の規則を決めたら、どんな少額のローンでも(1)から(5)の手続きを取るようにしてしまったわ。」
■ジャヤチャンドラン:「いいか、10,000 ルピー以上か以下か、それは5,000 ルピー以上か以下か、でもよいのだが、どうやってその線を決めたのか、その過程をVVK みんなで共有しないことには、どうしてこのローンに対する規則が、必要なのかが理解できないだろう。」
△ラクシュミ:「アタシらのグループ(Ma16)ではね、SHG の月別定期ミーティングに3 ヶ月以上、年間欠席した人にはローンをあげないことにしたの。ミーティングに定期的に出席するようになって2 ヶ月後にローンをあげる、という規則を作ったの。」
■ジャヤチャンドラン:「ミーティングへの出席とローンを結びつけたのはいい考えだ。どうして、そういう規則を作った背景には、ミーティングへの出席を確保したい、ということだからだな?」
△ラクシュミ:「そうそうジャヤチャンドランさんの言う通りよ。それから、うちのグループでは、SHGの月別定期ミーティングに欠席した人は、その月のVVK ミーティングに罰として出席させることにしたのよ。」
■ジャヤチャンドラン:「ちょっと待て。罰としてVVK ミーティングに参加するというのはおかしいぞ。アンタたちVVK の代表は、なんでVVK のミーティングに参加しているのだ?」
○オバチャン1:「SHG 運営のこととか、資金運用のこととか、SHG 連合体(VVK で共同)の運営とか、ビジネスのことなどが学べるからよ。」
◎オバチャン2:「VVK のミーティングに参加するのは、アタシのグループの利益になると思ってるからよ。アタシは罰としてVVK のミーティングに来ているんじゃないわ。」
●オバチャン3:「アタシがVVK ミーティングに参加するのは、それが私の責任だからよ。」
■ジャヤチャンドラン:「SHG のメンバーにグループ・ミーティングへの出席を呼びかけたり、規則正しいローン返済を促すのは、罰があるからじゃないだろう?規則というのは、罰を与えるためにあるのではないぞ。規則があるから、グループに規律や信頼が生まれ、それがグループの活動をよくするからなんじゃないのか?」
○オバチャン一同:「そうだ、そうだ。」
△ラクシュミ:「よくわかったわ。もうグループ・ミーティングを欠席した罰としてVVK ミーティングに出席させる、というのはやめにするわ。」
★バララクシュミ:「うちのグループ(ラマニ・グループ)では、(1)から(5)までに従うけど、でも緊急のローンの場合は、手続きは免除ということにしたの。」
■ジャヤチャンドラン:「緊急って何だ?」
☆スジャータ:「11 月に黄門様がうちのグループに来たときに、話してたじゃない“緊急”なことなんて、突然の事故とか発作的な病気くらいしかないって。だからなんでも“緊急”にしちゃいけないのよ。」
■ジャヤチャンドラン:「その通りだ。アンタたち、規則に抜け道ばっかり作っていたら、規則なんて絶対できないぞ。グレーゾーンのいっぱいある規則など規則ではない。だいたいアンタたちの言っていることは、“頭痛がする、じゃあアスピリンを飲めばいい、でもアスピリンには副作用があるから飲まない”と言っているのと同じだ。本当に頭痛を治そうという気があるのか、それより頭痛があるのかどうかさえも疑問になってくる。だいたい、VVK で共通の規則が必要なのは、ある問題がVVK 全体に影響を及ぼす場合だけだろう?グループ内で解決できるような問題は、グループ内に規則があればすむものだろう。」
○オバチャン一同:「ジャヤチャンドランさんのおっしゃる通りです。もう一度自分たちのSHG に戻って、どんな規則がグループに必要か、どんな規則がVVK に必要か話し合います。規則の例外ばっかり作るようなことはしないようにします。」

12 月20 日 研修第2 日目 アクシャヤ銀行メンバーによるSHG訪問

アクシャヤ銀行メンバー8 名が2つのグループに分かれて、7つのSHG を訪問した。ジャヤチャンドラン氏のグループ、サララ氏のグループは次のグループを訪れた。このグループ訪問を含め、3 日間の研修を企画したのは、VVK オバチャンたちであった。
<ジャヤチャンドラン・グループ>
10 時~11 時:ディヴィヤ・グループ (市内スラム「コバリトッタ」)
11 時~12 時:ラマニ・グループ (同上)
12 時~13 時:Ma16 (同上)
15 時~16 時:Ma8 (市内スラム「ランガレージヴィーディ」)
<サララ・グループ>
10 時半~11 時半:シッディヴィナイカ・グループ (郊外スラム「カーペンター・コロニーー」)
11 時半~12 時半:インディラ・グループ(郊外スラム「ヴィカラングラ・コロニー」)
15 時~16 時:Ma27 (市内スラム「ランガレージヴィーディ」)
両グループとも、アクシャヤ銀行のメンバーが事前に準備したVVK 評価10 項目に従って、アクシャヤ銀行のメンバーが中心になって各グループ訪問を行った。アクシャヤ銀行メンバーが作った次のVVK 評価10 項目は、10 月にVVK 代表メンバーたちがチェンナイの同銀行を訪問した際、VVK メンバーが「12 月までにやる」と宣言したことが中心になっている。
1. VVK:「新しいグループを連合体メンバーに加える」 1 ポイント
2. SHG:「チェンナイでの研修(10 月)成果をグループメンバーに伝え、5から7つの他のSHG に対しても、研修を行う」 1 ポイントSHG:「チェンナイでの研修(10 月)成果をグループメンバーに伝え、2から4つの他のSHG に対しても、研修を行う」 0.5 ポイント
3. VVK:「VVK 代表メンバーがSHG を訪問して各SHG の問題の解決にあたる」 1 ポイント
4. SHG:「10,000 ルピー以上のローンには、SHG 以外にVVK の許可を取る」 1 ポイント
5. VVK:「VVK に新しいメンバーSHG が加わった場合、VVK が新しいSHG にローンを渡す」:1ポイント
6. SHG:「読み書き出来ないSHG メンバーをVVK 代表メンバーに加える」: 1 ポイント
7. スタッフ:「チェンナイでの研修内容をベースにわかりやすい教材を作成する」: 0.5 ポイント
8. SHG:「その教材を使って研修を実施する。」: 0.5 ポイント
9. SHG:「ローン返済が不規則であったり、SHG ミーティングに参加しないメンバーに対して罰則を設けるなどの対応をする」 1ポイント
10. SHG:「グループ内での責任分担とVVK 代表メンバーのローテーション」: 1 ポイント
CFDAのジャヤチャンドラン氏とサララ氏が通訳になって、各グループ訪問は実施されたが、アクシャヤ銀行メンバーが訪れたほとんどのグループが大いに緊張した。アクシャヤ銀行のメンバーは、自分たちと同じSHG のメンバーである。その約80のSHG から成るアクシャヤ銀行は日本円にして約8 千万円のお金を自分たちの貯蓄とローン返済、その利子だけで動かしている(2004 年度)という実績を持つ。今回、ビシャカパトナムを訪れた8 名のメンバーは、同銀行の運営に携わる中心メンバーである。
SHG も実際に運営したことも、連合体の運営もしたこともないNGO のスタッフがSHG のミーティングにやってきて、「やれ女性の自立だ、やれ収入向上だ」というお題目をSHG に唱えるのとは、全く違う。アクシャヤ銀行のメンバーは、外部の銀行や政府の資金提供など全くなしに自分たちの月に30ルピーの貯蓄から始めて、自らSHG の数を増やし、資金を運用し、銀行から得られる利益で、衣料や電化製品などの小売業さえ営んでいる。アクシャヤ銀行のメンバーにとっても、自分たちが10 年間で培ったSHG 運営、SHG 連合体運営、そして銀行の経営というノウハウを、他州のSHG に対して、研修を通じて技術移転する、というのはこのビシャカパトナムのVVK が初めてのケースであった。第1 日目が終わり、2 日目のグループ訪問の前日には、どうやって各SHG をモニターするか、深夜1 時までアクシャヤ銀行のメンバー間で議論されていたという。
さてグループ訪問の日。
Ma8(市内スラム・ランガレージヴィーディ)でのアクシャヤ銀行メンバーによるモニタリングの様子をご紹介する。
◇アクシャヤ銀行メンバー(ラダ):「今日、どうしてアタシたちがアンタたちのミーティングに来たかわかる人いる?」
▼Ma8メンバー:「どうして、そんなこと聞くの?」
◇アクシャヤ銀行メンバー(ラダ):「だって、15 人いるメンバーのうち6 人しか集まっていなくて、おまけにメンバー同士で、コソコソ話してるのを聞いていたら、どうも2 人のメンバーが残りの4 人に、チェンナイからアタシたちが来ているって話しているじゃない。そんなのテルグ語※で言っていても、わかるわよ。」(※アクシャヤ銀行メンバーの言葉はタミル語)
◎Ma8メンバー(ダナラクシュミ):「10 月のチェンナイ視察が終わった後に、ちゃんとアクシャヤ銀行のメンバーが今日、アタシたちのグループの視察に来るって伝えてたの。でも11 月のグループ・ミーティングもほとんど出席したメンバーがいなくて、よくわかってない人が多いのよ。」
◇アクシャヤ銀行メンバー(ラダ):「だいたいミーティングに欠席した人には、どんな罰則があるの?」
△Ma8メンバー:「罰として銀行に預金に行くのよ」
◆アクシャヤ銀行メンバー(アムダ):「罰として銀行に預金に行くよう、どうやって欠席したメンバーに連絡をとるの?」
▼Ma8メンバー:「後から家に行って、伝えるのよ。」
◆アクシャヤ銀行メンバー(アムダ):「そんなんだったら、最初からミーティングに来るよう家に行って、伝えればいいじゃない?まあそれはいいとして、議事録を見せてくれる?」
◎ダナラクシュミ:「はい、これです。」
◆アクシャヤ銀行メンバー(アムダ):「11 月の議事録分を読んでもらえる?」
11 月の議事録を読むダナラクシュミ。しかし、そこに書いてあることの多くはMa8のメンバーの合意を得た様子はなく、議事録が読まれる度に、コソコソ話しが続くメンバーたち。
◇アクシャヤ銀行メンバー(ラダ):「アンタたちのグループは、リーダーが2人も3 人もいるのね。議事録っていうのは月ごとのミーティングで、メンバーの合意が得られたことが記録されているものでしょう?なんで11 月の議事録に書いてあることを、12 月の今、あーでもない、こーでもないって議論するわけ?」
△Ma8メンバー:「そんな厳しいこといわれてもねえ。私たち別に、次から次へと政府とか銀行とかのローンが補助金つきでもらえるから、議事録だ、ミーティングへ出席だ、とかVVK ミーティングとか、研修とか別にどうでもいいのよね。」
▼Ma8メンバー:「そうそう、議事録がきちんと書いていないとか、SHG 月別定期ミーティングに出席しないとか、VVK ミーティングに行かないとか、そういうことが出来ないからVVK のメンバーでいられない、というならそれでもいいもんねえ。」
※Ma8では、20 万円のローンをSHG でもらい、半額の10 万円を返済すれば、残りの10 万円は返済不要というような政府や銀行のSHG を対象にしたスキームを繰り返し申請しているため、グループ内での定期的なローン返済などはせず、全く資金運用のない状態で、政府などの支援を受けるごとに、1 人あたり1 万円前後のお金を使いきっては、次の支援を待つ、を繰り返している。Ma8というSHG のほとんどのメンバーは、PCUR-LINK 事業の研修を通じて、SHG が資金の回転で利子を増やし、グループ内の資金繰りを潤沢にしていく技術や、資金を複数のSHG で運用していくことなどの意義は全く理解していない。
■ジャヤチャンドラン:「まあ、アンタたちにVVK は必要ないんじゃないか?VVK のメンバーを辞めてもいいんだぞ。」
◎Ma8メンバー(ダナラクシュミ):「そんなー。アタシ、VVK のメンバーになれて、様々な研修を受けられて、これからようやく生産物流センターを計画していこう、というときにVVK メンバーから外れるのは嫌だわ。」
■ジャヤチャンドラン:「アンタ、本気でVVK に残りたい、と思うのだったら、新たにグループを作ったらいいじゃないか。」
◎Ma8メンバー(ダナラクシュミ):「うーん、もう少し考えてみます。」
アクシャヤ銀行のメンバーによる7つのVVK メンバーSHG 訪問が終わった後、PCUR-LINK のフィールド担当スタッフの依頼を受け、プロジェクト事務所でスタッフ対象の特別講義を行ったジャヤチャンドラン氏。PCUR-LINK のフィールド担当のマヒラ・アクションンのスタッフは、ジャヤチャンドラン氏に、「ビジネスのこと、商品開発のことを教えてください。CFDA スタッフのアクシャヤ銀行における役割を教えてください」と言った。
■ジャヤチャンドラン:「アンタたち、全くわかっておらん。Ma8のようなグループいるVVK で、まだまだSHG 連合体の組織の基礎固めもできていない今、ビジネスの話にジャンプするということは、小学校1 年生が物理を習いたい、と言っているのと同様。小学校1 年生の算数も習っていない子どもに物理の授業が無駄なように、アンタたちにもビジネスなどまだ早い。それより、Ma8のようなグループにアドバイスがアンタたちは出来るのか?」
◎マヒラ・アクション・スタッフ:「出来ません。」
■ジャヤチャンドラン:「だいたいなあ、NGO のスタッフというのは、コミュニティにとって外部者で、プロジェクトという名前でコミュニティに侵入し、プロジェクト終了時にコミュニティを壊して出てくるものなのだ。この意味がわかるか?」
◎マヒラ・アクション・スタッフ:「わかりません。」
■ジャヤチャンドラン:「スタッフの役割をアンタたちは聞いているが、自分たちスタッフが今までVVK に何を貢献してきて、これから何を貢献できて、VVK がこれからどうなっていくのかそういう考えをもって、VVK というコミュニティに関与しているのか?」
◎マヒラ・アクション・スタッフ:「????」
■ジャヤチャンドラン:「ここに急須があるとしよう。アンタたちスタッフは急須の注ぎ口のような小さな入り口からプロジェクトを背負って急須というコミュニティに侵入したのじゃ。多くのNGO は、コミュニティをエンパワーすることもなく、自分たちの領域としてのコミュニティに固執して、全くその急須(コミュニティ)から出てこようとしない。これが多くの場合で、ただプロジェクトを急須に注ぎ込む以外、コミュニティに貢献することに変化はないし、スタッフの能力向上もない。ただプロジェクトを急須に注ぎ込むだけがNGO スタッフの仕事だ。そしてあるとき、注ぎ込むプロジェクトがなくなれば、小さな注ぎ口からいきなり出て、コミュニティ(急須)自体を壊す、というパターンが一般的だ。アンタたちはVVK に対して、そういうことをしようとしているのか?」
◎マヒラ・アクション・スタッフ:「????????」
■ジャヤチャンドラン:「もし、VVK にこれから何を貢献できて、VVK がこれからどうなっていくのかそういう考えをもって、スタッフの役割とVVK の役割とがはっきり見えているのなら、コミュニティという急須を壊すことなく徐々にプロジェクトの終了時には、スタッフは抜けていくことができるのだ。それがスタッフの役割だが、ワシはアンタたちの質問に答えているか?」
◎マヒラ・アクション・スタッフ:「?????????????」
■ジャヤチャンドラン:「Ma8のようなグループがあるだろう?あーいうグループはいくら外から石を投げて、様々なアドバイスをしても、全く澱んだ池と同じで、一瞬だけ波紋が広がって、また何の動きもなくなってしまう。あーいうグループは死んでいるのも同様だ。灌漑用の池だって、池に放水口を作って、そこから流れ出した水が畑や田んぼを潤すだろう?流れのない、動きない水は全く灌漑としては使えないだろう?そうした動きのないグループも、1 つの団体やプロジェクトに固執して自己の成長がないNGO のスタッフも、死んでいるのと同様だ、それがわかるか?」
◎マヒラ・アクション・スタッフ「???????????????」
■ジャヤチャンドラン:「これからVVK は新たなSHG をメンバーに加えていき、もっともっとメンバー数を増やしていかなければいけない。Ma8のようなやる気のないグループ、物乞いをするだけのグループがVVK 全体のやる気を削いでしまわないよう、どんどんやる気のあるグループを加入させ、プラスの力をつけていく必要がある。もちろん既存の権力にしがみつき、権力を失いたくないというSHG のリーダーたちも多いだろう。そんなリーダーたちに次々と新しい役割を作り出し、新しいリーダーシップを育てていくのがスタッフが貢献できることではないのか?止まってしまったらそれはプロジェクトにとって死も同然だ。そのことがわかるか?」
◎マヒラ・アクション・スタッフ:「???????????????????????」
上記は、ジャヤチャンドラン氏からマヒラ・アクションのスタッフに向けて話されたことだが、実はそれは外見だけで、ジャヤチャンドラン氏は、プロジェクト・マネージャーに一喝を与えていたのだった。
プロジェクトの進捗と同時に生じてくるVVKの変化やスタッフの役割の変化を「待つ」ということもプロマネの仕事の1 つだが、このジャヤチャンドラン氏の一喝を受けて初めて、プロマネは今日まで「待つ」ことばかりで、積極的に事業を一定の方向に牽引していく力が欠けていたことを実感した。それがよくわかったプロマネは、自分がいかにファシリテーターとして未熟であり、VVKの問題解決やマヒラ・アクション・スタッフへ新たな役割を作り出すこと、PCUR-LINK 事業の全体ビジョンをすべてのステークホルダー間で共有することなどに全く積極的に関与していなかったことを痛感した。
もっと正確に言うなら、そういう能力がプロマネにはないことを実感したのだった。このショックでしばらくPCUR-LINK便りが書けない状態だったプロマネだが、後日、この報告を黄門様にしたところ、一笑に付された。
■水戸黄門様:「そもそもこんな高度なファシリテーション能力を要するPCUR-LINK事業で、プロジェクトを一定方向に牽引してゆく力などおまえさんにはまだまだないのじゃ。高度なファシリテーション能力がそんな簡単に一朝一夕で身に付いたら、ワシは水戸黄門じゃなくなるだろうが。おまえもラマラジューも修行が足りんのじゃ、呵々。」と、さらに一喝を受けてしまったプロマネであった。もう自分の能力ないことをショックに思うのはやめよう、ファシリテーション能力がないのだから、ないことを自覚して試行錯誤を続けるしかないと割り切ると、すばやくショック状態から立ち直り、気持ちを新たに能天気な状態に切り替え、このPCUR-LINK便りを書き始めた。能天気にならなければ、こんな報告は書けるものではない。
さて話を戻して、この2 時間のジャヤチャンドラン氏によるセッションで、一喝を受けたことを理解したのは、プロマネとソムニードの同事業担当のラマラジューだけだった。マヒラ・アクションのフィールド担当スタッフはジャヤチャンドラン氏に何を言われていたのか理解しておら
ず???????????ばかりが残ったセッションとなった。この???????????だらけのフィールドスタッフに、ジャヤチャンドラン氏から与えられた課題をどう理解してもらうかが、今後のプロマネとラマラジューの課題となった。

12 月21日 研修第3 日目(最終日)

アクシャヤ銀行メンバーによるSHG訪問フィードバック
午前中は、アクシャヤ銀行のメンバーが前日に訪問した7つのVVKメンバーSHGに関してそのフィードバックを行った。10 点満点の評価指標のうち、SHGに関連する部分は6 点になるが、7つのSHGの評価結果は次のようになった。
・シッディヴィナイカ・グループ: 6 点満点
・インディラ・グループ: 5 点
・Ma16: 4 点
・ラマニ・グループ: 3 点
・デヴィヤ・グループ: 2.5 点
・Ma8: 0.5 点
・Ma27: 評価不能 ※アクシャヤ銀行メンバーが同グループを訪問した1 時間の時間内に、議事録内容も不十分で、議論も十分にできず、評価すること自体が出来なかった。この点数以外にアクシャヤ銀行のメンバーは細かくSHGの活動を評価。
・欠席者が多く困っているという問題を常時抱えながら、議事録にはメンバー全員の署名が毎月ある。(ディヴィヤ・グループ)
・ミーティングへの出席が悪いメンバーには、ローン貸し付けをしないという規則があり、その結果、出席率が向上し、定期的なローン返済と貯蓄が可能になり、資金繰りが向上。外部のローンに依存しなくてもつねにSHG内部に潤沢な資金がある。(Ma16)
・SHGレベルでは全く問題がなく、資金運用も活発だが、自分たちが得た技術をVVK以外のグループやVVK内の活動が停滞しているグループに対して十分な技術移転ができていない。(シッディヴィナイカ・グループとインディラ・グループ)
・SHG内でのどんな決議も実行に移すことが出来ない。外部ローン依存度が高く、内部での資金運用が全くなく、VVKの利点も理解していないメンバーが大多数を占める。(Ma8)アクシャヤ銀行メンバーによる7つのSHGへの厳しいフィードバックが終了すると、ジャヤチャンドラン氏が参加者全員に次の課題を与えた。
<VVKメンバーへ:スタッフに期待する役割>
<スタッフへ:自分がVVKに貢献できること>
<アクシャヤ銀行メンバーへ:VVK組織運営を可能にするための助言>
グループに分かれて与えられた課題を話し合う参加者。スタッフにとっては、これからPCUR-LINK事業に自分がどういう役割を期待されているか、VVKから直接聞くことの出来る緊張の機会となった。40 分ほど、各グループで議論した結果、まずはVVKメンバーがスタッフに期待する役割を次のように発表した。

20061218 - コピー

◆VVKオバチャン:「会則を最終化すること、VVKの議事録や会計帳簿の付け方、在庫管理表の書き方を教えてもらうこと、ビジネスの方法、縫製や刺繍の技術、ファシリテーションの方法、県知事や議員など外部の人への対応の方法なんかをスタッフに教えてもらえると嬉しいわ。」
■ジャヤチャンドラン:「VVKは一体誰のものだ?」
△VVKオバチャン:「アタシたちのもので~す!」
■ジャヤチャンドラン:「アンタたちは、自分たちのVVKの会則をスタッフに最終化してもらうのか?そもそも自分たちのSHGの規則は誰が作ったのだ?」
△VVKオバチャン:「アタシたち自身で作りました。」
■ジャヤチャンドラン:「アンタたち、SHGの規則が作れるのに、どうしてVVKの会則作りにスタッフの助けが必要なのじゃ?」
△VVKオバチャン:「自分たちでやります。」
■ジャヤチャンドラン:「それから、アンタたちVVKの議事録や会計帳簿の付け方をスタッフに習いたいと言っておるが、自分たちのグループの議事録や会計帳簿はスタッフが記録しているのか?」
△VVKオバチャン:「自分たちでやっています。」
■ジャヤチャンドラン:「VVKの議事録と会計帳簿はSHGのそれと基本は同じだろう?自分たちで出来るんじゃないか?スタッフの助けが本当に必要なのか?」
△VVKオバチャン:「自分たちで出来ます。」
■ジャヤチャンドラン:「ビジネスの方法をスタッフから学びたいと言っておるが、ここにいるPCUR-LINK事業のスタッフの誰1 人として商売をしたことはないが、そんな人からビジネスの方法を学んでどうするんだ?」
△VVKオバチャン:「沈黙」
■ジャヤチャンドラン:「縫製や刺繍の技術をスタッフから学びたい?どんな事業を始めるか、どんな市場を対象に、どんな商品を開発するかも決まっていないのに、チャンチャラおかしいな。だいたいアンタたち、自分のSHGへのミーティングやVVKへのミーティングにも、忙しいやらなんやらと理由をつけて、1 時間も時間をさけないような人たちが、どうやって技術の研修ミーティングに参加するのじゃ。だいたいアンタたちは全くワシが与えた課題をわかっておらん。今、自分たちの強みは何で、弱みは何で、これから何が必要か、何を成し得たいと思っているのか、そういうこともわかっておらんということがアンタたちの問題じゃ。アンタたちはだからスタッフにどんなことを、どれだけの期間、助けて欲しいのかわからんのじゃ。」
次に、スタッフがVVKに貢献できることを発表したが、在庫管理表の付け方、コスト計算の仕方、VVKへの研修ニーズの把握、会則作成などであった。スタッフに対して、ジャヤチャンドランは、いつまでに何を成し遂げるかPCUR-LINK事業の行動計画をスタッフはVVKと一緒に考え、そのステップごとに自分が貢献できることを考えるべきだとアドバイスを受けた。
最後に、アクシャヤ銀行メンバーから、VVKへの助言は次の通りであった。
1. 会則の制定:どのようにVVKが設立されたのか、そして、VVKに加盟しているメンバーSHG全員で共有しておかなければならない事項を会則に記載すること。
2. VVKの組織運営に必要な活動すべてをリストアップし、目的別に小委員会を設置する。(例:会則起草委員会、議事録内容確認委員会、10,000 ルピー以上のローン認定委員会、メンバーSHGの会計帳簿監査委員会、新規VVK加入SHG指導委員会、VVK代表新規メンバー指導委員会、VVK内資金運用委員会、各種研修計画委員会など)
3. VVK代表メンバーは、SHGの個別の問題を超えて、VVK全体の組織運営のことに配慮しなければならない。
4. VVKメンバーSHG内で現在、個別に実施されているビジネスをリストアップし、生産・物流センターで生産できるような商品を選定する。
5. VVKメンバーSHG内で、新たな商品開発や生産事業に興味のあるメンバーを選出する。
6. VVK内の役割分担はすべて1 年ごとにローテーションさせ、常に新しい役を作り出す。
7. VVK内で資金運用(規則正しいローン返済・貯蓄)を活性化する。
3 日間のアクシャヤ銀行メンバーとジャヤチャンドラン氏による嵐のような研修が終了し、12 月28日のVVK定例ミーティングの日になったが、12 月のJICAチームの訪問、引き続いてのアクシャヤ銀行メンバーの訪問で疲れ果てたメンバーたち、そして1 月の祭り前で帰省するメンバーなど、様々な理由で、定例ミーティングの出席者はわずか9 名となり、3 日間の研修成果の共有は十分に出来なかった。28 日に参加した9 名のオバチャンたちは、あまりの欠席人数の多さに一時的に暗い気持ちになったが、そこで落ち込むオバチャンたちではなかった。翌29 日には、2つのグループ(シッディヴィナイカ・グループとMa16)が共同出資して、1 月のヒンドゥー教の祭りで多くの人がサリーを新調するのを見込んで、季節限定サリービジネスを開始させた。サリーを売った利益の25 パーセントをVVKの資金にし、残り75 パーセントを出資した2つのグループで分配する。市場は7つSHGからなるVVKメンバー。出資金額はわずか15,000 ルピー(約4 万円)だが、自分たちのSHGの資金を回転させたことによって生み出した利益から出資する初のVVKビジネス。勢いで「ドーンと卸売市場でサリーを仕入れてみよう、ドーンと売ってみよう」と元気よく始めたオバチャンたち。このサリービジネスの成果は1 月末に。
そして???????????ばかりのマヒラ・アクション・スタッフが、黄門様のファシリテーションの魔法にかかって、?の数を減らしてゆく様子も、次号に乞うご期待!
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プレゼンテーション1