【記録】ファミリ―スタートをスタート~半径1.5キロで徒歩や自転車で会いに来てくれる人がいる安心~(プロジェクトの記録 第8話)

In 608プロジェクト通信 西宮「地域で助け合う、子育ての輪」 by master

「西宮で広げる、地域で助け合う 子育ての輪プロジェクト」の記録

第8話(2020年3月10日号)ファミリ―スタートをスタート~半径1.5キロで徒歩や自転車で会いに来てくれる人がいる安心~

執筆=原康子 ムラのミライ研修事業チーフ

春休み前の、突然の一斉休校で、日々の暮らしが一変してしまった方も多いかと思います。
この原稿を書いている今(2020年3月8日)も新型コロナウィルス感染症の治療薬は開発されておらず、西宮プロジェクトでも、妊婦さんが参加される講座や小さなお子さんの託児を必要とする2月と3月に予定していたいくつかの講座を延期としました。
一日も感染コントロールがされることを願うばかりです。
さて年度末の3月ということで、2019年度の西宮プロジェクトのご報告です。今回は2019年度の活動(文末一覧をご覧ください)の中から、今年度スタートした「ファミリ―スタート」についてご報告します。

目次

ファミリ―スタートってどんな活動?
プロジェクトのタイトルに関する疑問
「地域ってどこ?」
「助け合うってナニ?」
助け合わなくていいです
徒歩で行ける場所、自転車で会いに来てくれる人

ファミリ―スタートってどんな活動?

2018年からスタートした西宮プロジェクト。

1年目の産前産後の支援を必要する方と、彼・彼女たちへの支援を希望する方への講座、西宮市の産前・産後の実態調査などを経て、2019年度は、本格的に半径1.5キロメートルという徒歩や自転車で無理なく移動できる距離で、子育てを助け合っていけるような活動を開始しました。

プロジェクト2年目に、新たに始まった活動のひとつが「ファミリ―スタート」。

訪問ボランティアによる子育て中の方のご自宅に家庭訪問をする活動です。

訪問ボランティアは、1年目から続いている「地域子育てサポーター養成講座」で、助産師や臨床心理士から産前産後の女性の心と身体の変化のこと、子どもの発達のことを学んだり、ムラのミライの対話型ファシリテーションを学んだ方たちが中心です。

彼女たち(今のところ受講生全員が女性なのです)訪問ボランティアが、妊娠中や産後の子育て中で、なかなか外出できない方のお家を訪問するのがファミリ―スタートです。

1回、1時間から2時間くらい、一緒に過ごし、おしゃべりをします。

おしゃべりのなかで、近所でどんな子育てサポートがあるかお伝えすることもあります。

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プロジェクトのタイトルに関する疑問

ファミリ―スタートのご報告に入る前に、プロジェクト通信連載8回目になって、今さらなのですが、この西宮プロジェクトのタイトルをよくご覧ください。

「西宮で広げる、地域で助け合う 子育ての輪プロジェクト」とありますね。

2018年の事業開始前に付けたタイトルなのですが、「西宮」はともかく、こんな疑問が湧いてきました。

「地域ってどこ?」
「助け合うってナニ?」

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「地域ってどこ?」

まず「地域ってどこ?」から始めましょう。

もちろん西宮市内での活動です。

それでもまだ漠然としています。

では西宮市の城ヶ堀町内とか甲子園の周りなど、そういう「場所」を指しているかというと、そういう「地域」を指しているのでもありません。

前述の2018年の調査の結果、「自宅から半径1.5キロ」という産前、産後に無理なく歩いていける距離で、ちょっと話をしたり、ちょっと相談できたりする人がいるかが、「助け合う子育て」の鍵ということが浮かび上がってきました。

子育て中の人たちが、自宅から半径1.5キロ圏内の「地域」で、「助け合う子育て」を実現させていこう、そのために必要な知識や技術を「助ける側」も「助けてもらう側」にも両方に伝えてゆこう、ということになりました。

2019年度の講座の内容は、前年度よりかなり焦点が絞られ、その教材も完成しつつあります(2020年度に教材を完成させる予定です)。

「地域」が絞られたところで、次に「助け合う」についての疑問です。

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「助け合うってナニ?」

ここまでの文章中も、何度も何度も「助け合う子育て」とでてきますが、実は「助け合う」のはなかなかハードルが高いのです。

ここで、読者の皆さんに4つほど質問です。

1)ご自宅から半径1.5キロの圏内(徒歩20分以内)で、苗字も名前も知っている方は、何人いますか?

2)一戸建にお住まいの方は同じ町内(同じ班か同じ組)で、集合住宅なら同じビルや敷地内で、小学校入学前のお子さんが何人いるかご存じですか?

3)その中で何人のお子さんの名前が言えますか?

4)上記2)で挙がったお子さんのいる方と、この1週間で15分以上、話をしたことはありますか?

1)から4)の答えが、「0人」「知らない」「話してない」という方がほとんどの現状で、自宅から半径1.5キロ圏内で誰かを助けたり、誰かに助けられたりすることを実現しようとすると、助けたい方も助けてほしい方も、「どこにいるの?」と途方に暮れてしまうのです。

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助け合わなくていいです

そこで、ひとまず「助け合う」を脇に置きました。

助け合わなくていいです。

まずは、母親1人だけで子育てしなくていいのに、助けが必要なのに、「“助けて”と言ってはいけないと思っている人」と「子育ての手助けをしたいと思っている人」をつなげよう、とファミリースタートは始まりました。

始めたのは、1年目の講座や調査に参加した女性たち。

利用の手続きも簡単です。

「ファミリースタートを利用したいです」とア・リトルに連絡して、訪問ボランティアにお家に来てもらったら、ただおしゃべりするだけ。

「よその人が来るから~」と片づけたり(片づけ好きな人を敢えて止めはしませんが)、子どもがうるさくしないよう事前に絵本、おもちゃ、ビデオなどを用意したり、そんな準備は一切不要です。

おしゃべりしながら、気になる家事があれば手を動かせばいいですし、お子さんが泣き出したら、おしゃべりしながら、子どもの相手をしていていいのです。

ファミリースタートは、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループの助成をいただいているので、利用料は無料です。


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徒歩で行ける場所、自転車で会いに来てくれる人

2019年度にスタートしたばかりのファミリ―スタートは、まだ利用者も少なく、家庭訪問をする訪問ボランティアも今は6人です(2020年3月現在)。

自宅から半径1.5キロ圏内の徒歩圏でのつながりを目指していますが、まだ1.5キロという近距離は難しく、ファミリースタートの利用者の自宅から訪問ボランティアの自宅まで3~5キロくらい。歩いてゆくにはしんどいけど、自転車ならば、という距離です。

ファミリ―スタートを利用した方たちからこんな声が届いています。

  • 「夫以外の大人(訪問ボランティア)と話せてホッとした。しかも家がわりと近所の方が来てくれて安心できた。」
  • 「日中、自宅に子どもと二人だけでいないで、訪問ボランティアさんに教えてもらった○○という集まりに出かけてみた。」
  • 「妊婦の知り合いに(西宮プロジェクトの)産前の講座のことを勧めてみた。」
  • 「友だちにファミリ―スタートを紹介した。」
  • 「家事・子育ての負担を減らすにはどうしたらよいか、夫と相談して、訪問ボランティアさんに手続きの方法を聞きながら、ア・リトルの家事・子育てシェアや西宮市のファミリーサポートを使ってみた」

なかには、「自分は産後に孤立した子育てをして、とても苦労した。もし託児をしてもらえるなら、地域子育てサポーター養成講座(*)にでて、訪問ボランティアになりたい。」という方もいて、実際に講座にも参加してくれました。(*地域子育てサポーター養成講座は全講座託児つき)

気楽に徒歩や自転車で、近所の人の家を行き来して、おしゃべりするのが当たり前になる。そんな暮らしは、はるか彼方のキラキラしてみえるどこかの誰かの話でなく、あなたの、私のものになる。

そんな一歩になれるよう、2020年度もファミリ―スタートを続けます。

訪問ボランティアのメンバーは、もちろん「子育てを手助けしたい」と思う方たちですが、気持だけでなく、対話の技術を向上させ(メタファシリテーション定期練習会や講座の参加、産前や産後の心と身体についての知識、西宮市で利用な可能な子育て支援の情報など、今日も知識や技術をアップデート中です。

徒歩で行ける場所、自転車で会いに来てくれる人を増やし、自宅から半径1.5キロメートルの安心をつくっていくファミリ―スタート。

ここまで読んでくださった方で、「ファミリ―スタート使ってみたいな」と思われた方は、こちらのサイトをのぞいてみてください。

「訪問ボランティアになりたいな」という方は、4月から「地域子育てサポーター養成講座」の新シリーズがスタート予定です。こちらのサイトをご覧いただければ、随時、講座予定をアップデートしていきます。

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2019年4月から2020年2月にかけての活動一覧

1)産前産後の女性とそのパートナーを対象にした講座

①産前の方向け講座:2回 (2019年7月、10月)
②産後の方向け講座:2回 (2019年6月、9月)
③父親向け料理講座:2回(2019年9月、12月)

2)地域子育てサポーター養成講座

連続講座:2回(2019年2月&2020年7月)

3)ファミリ―スタート

*2)の講座受講生が中心になり、1)の講座参加者やその知り合いや希望する家庭を訪問する
2020年7月からスタート: 延べ18回の家庭訪問(2020年1月末現在)

(番外編)もうひとつの両親学級(プロジェクト通信 第7回参照)

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