【記録】西宮で迎える産前産後の子育て実態調査の実態(プロジェクトの記録 第3話)

In 608プロジェクト通信 西宮「地域で助け合う、子育ての輪」 by master

「西宮で広げる、地域で助け合う 子育ての輪プロジェクト」の記録

第3話(2019年6月28日号)「西宮で迎える産前産後の子育て実態調査の実態」

執筆=原康子

目次

ア・リトルと一緒にゼロから調査をつくる(2018年4月〜6月)
調査して何が分かるのか分からない?!(2018年9月)
調査無事終了終、報告書づくりがスタート(2018年11月〜2019年3月)

ア・リトルと一緒にゼロから調査をつくる(2018年4月〜6月)

今回は、西宮で産前産後を迎える方を対象にした子育て実態調査の実態を、原がお伝えします。

これまでに、いろいろな調査をしてきました。
大きな調査ですと、インドのいくつかの州政府スタッフや村人を相手に、小さな調査ですと、スラムのおばちゃんたちを相手に。
自分が直接インタビューするような調査もあれば、調査をする人にトレーニングをすることもありました。

どの調査でも共通していたのは「事実で実状を知ること」。
西宮プロジェクトa little(ア・リトル)をパートナー団体として実施した調査。
実は、日本で調査をするのは初めてのことでした。

2018年4月から6月までの3カ月間、こんな話し合いが続きました。
「何のために調査をするのか?」
「調査をどう活用したいのか?」
「何を聞くのか?」
「誰に聞くのか?」
「誰が調査員になるのか?」
「どのように聞くと実情が聞けるのか?」
質問表を作っては、作り変え、作っては作り変えという作業を何度もしました。
何度目かの話し合いで、やっと「何のために調査をするのか?」が見えてきました。
「西宮での産前産後の子育ての実状を把握した上で、今後の講座やサポートの中身考え、西宮での子育てを助け合える仕組みづくりにつなげる」
という調査の目的が決まりました。
そして私たちは、次の5つのテーマを選びました。
-妊娠・出産・子育ての講座について
-産前産後のサポートについて
-現在の家事(育児)について
-妊娠・出産・育児の悩みごとについて
-パートナーとの関係について
インターネットのアンケートに協力していただく方は、妊婦さんとそのパートナー、
0才から3才のお子さんをお持ちのご家族となりました。
またアンケートとは別に、調査員が1対1で上述のような産前、産後の方たちにインタビューをすることもやってみようとということになりました。

一般には
「どうしたいですか?」
「○○があったらいいと思いますか?」
というような「希望」や「将来のこと」を聞くアンケートが多いのですが、こうした質問は、相手の「考え」や「気持ち」は聞くことができますが、「事実」としての「現状」は、なかなか浮かび上がってきません。

そこで、この調査では、過去に実際に起こった事実を具体的に聞くことで、子育て中の方たちの実状を把握しようとしました。

ア・リトルのメンバーを中心に、西宮市内で子育て中の知り合いにもお声をかけていただき、個別インタビューを担当する調査員になってもらいました。
調査員として集まった方は女性が6人。
彼女たちには、インタビュー調査に協力していただく方に、産前産後に起こったことを思い出してもらいながら話してもらえるようなインタビュー方法の研修もしました。

例えば「よくお子さん連れで出かける場所はどこですか?」と聞かないで、「この1週間でお子さんと一緒に出かけた場所はどこでしたか?」と聞くようにしたり、「悩みを相談できる人はいますか?」と聞かないで、「産後の心や身体に悩みを相談した人は誰でしたか?」
「その人はどこに住んでいる方でしたか?」と具体的に事実を聞くような研修です。
こうして、いよいよ7月から調査がスタートしました。

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調査して何が分かるのか分からない?!(2018年9月)

100人を目標にしていたインターネット上のアンケートには、すでに80人くらいの方が回答してくださり、対面でのインタビューも目標の50人に近づいていた9月のある日のミーティング。
順調スタートから2カ月ほど経ったときです。

「この調査をやって、一体何がわかるのか、よくわからなくなってきた」
とア・リトルのメンバーに言われました。
対面でのインタビューでは、質問表のほかに西宮市の地図を使って、実際に産前産後のサポートや相談で頼った人の家にシールを貼ってもらう調査もあったのですが、
「この地図で、何がわかるのか、わからない。」
とも言われてしまいました。

「4月から6月まで、3カ月もかけて、何のための調査か、何を聞くのか、どうやって聞くのか、ずっと話し合ってきたのに〜」
と、かなりショックでした。

質問の一つ一つは細かい事実ですから調査途中には、全体像は、なかなか見えてきません。
「わからなくなった〜」というのは無理もないことなのです。

6人の調査員は、質問表や地図を片手に、1人で何十人もの人を相手に、具体的な事実を、繰り返し聞いていきました。
それは、森をみるのでも、木を見るのでもなく、木の葉の一枚、一枚を見るような作業です。
葉の一枚、一枚はとてもとても小さくて、その1枚、1枚が森を作っていることが、見えなくなってしまったのかな、と思いました。

それに調査を開始した7月までは月に何度も集まって、ミーティングをしてお互いに疑問な点はその場で話し合ってきましたが、7、8、9月は、調査で忙しくしていて月に1度の定期ミーティングでお互いに顔をあわす程度です。
そんなときは、メッセンジャーのグループを使って、4月から6月までの間に話し合った「何のための調査か?」という点を思い出してもらえるよう、
4月の最初のミーティングで話したときのこと
「何度も質問を考えて、今の調査表を作っていったこと」
などについて何度かメッセージを送りました。

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調査無事終了、報告書づくりがスタート(2018年11月〜2019年3月)

7月に始まったアンケートや個別にインタビューする調査は4カ月後の11月初めには無事終わりました。
調査員の皆さんの力で、合計104人にインターネットのアンケートにご回答いただき、そのうち59人が個別インタビューにご協力いただきました。

11月からは、アンケート結果の集計と報告書づくりの作業が始まりました。
ア・リトルの皆さんと一緒に、報告書を少しずつ完成に近づけてゆくなかで、産前、産後の女性たちの声にならない「助けて」という叫びが聞こえてきました。
次号では、調査を通じて聞こえてきた産前産後の方、特に女性が家事と育児と仕事を一人で抱え込んでいる現状とその解決策の光りが見えた調査結果についてお伝えしますので、どうぞお楽しみに。

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