【記録】“地域で助け合う”ってどういうこと?(プロジェクトの記録 第2話)

In 608プロジェクト通信 西宮「地域で助け合う、子育ての輪」 by master

「西宮で広げる、地域で助け合う 子育ての輪プロジェクト」の記録

第2話(2019年5月30日号) 「“地域で助け合う”ってどういうこと?」の巻

執筆=山岡美翔

こんにちは、第2回は私、山岡美翔が担当します。
みなさんは最近、誰かのちょっとしたひと言で「ふっと心が軽くなった」ということはありますか?
私は先日、子ども園に通う娘と二人で電車に乗っていたとき、隣り合わせた60歳くらいの女性の方に、声をかけられました。
「“今が一番かわいい時よね”って私もよく言われたけど、育てている親の方はそんなこと気が付く余裕もないくらい、必死よね」
こう言ってもらえて、数十年前に子育てしていた方も、私と同じ気持ちだったんだなと思うと、なんだか心がふっと軽くなりました。

目次

初めてのプロジェクトミーティング
調査で何を聞けば「助け合い」に繋がるのか
「助け合わない子育てが当たり前」は、いつから?
「ダメダメお母さん」という思い込みの正体
まずは「今、どんな子育てをしているか」を知る

初めてのプロジェクトミーティング

さて、2018年4月「西宮で広げる、地域で助け合う子育ての輪プロジェクト」(以下、西宮プロジェクト)がスタートしました。
4月12日に、初めてのプロジェクトミーティング。
ミーティングに参加したのは、a little(ア・リトル)の運営メンバー5人(ようこさん、ゆうこさん、きょうこさん、かなさん、しょうこさん)とムラのミライのと私。それに「なんだか面白そうなプロジェクトだな~」と飛び入り参加した和田信明(ムラのミライ海外事業統括)です。
ミーティングでは、役割分担やスケジュールについてあれこれ決めた後、7月からスタートする「子育て実態調査」の話になりました。

目次へ
初めてのプロジェクトミーティング

調査で何を聞けば「助け合い」に繋がるのか

以下にご紹介するのは、調査のことを話し合っていたときの和田とア・リトルの皆さんとのやりとりです。

和田:「調査とは、仮説を検証すること」という話がさっき出ていましたね。
では、仮説とは何でしょう?
一同:???
(山岡、心の声:仮説って、予想とか予測みたいなことかな…?)

和田:仮説とは、「きっと〇〇だろう→だから△△を知りたい」ということです。
ようこさん:これまで2015年からやってきた家事サポート(料理、掃除などの有料家事サポート)の経験から、産後に“足りないものは何か”、“何があれば子育てが楽になったか?”、“何が特にしんどいのか?”などを知りたいです。
和田:皆さんの聞きたいことは「産後の子育て」のことなのですね?
一同:はい、そうです。
和田:「産後」とはいつから、いつまでのことですか?
ようこさん:出産してから3カ月後くらいまでかな。でも子どもから目が離せない3歳くらいのお子さんがいるご家庭に家事サポートに入ることも多いから、調査では子どもが3歳になるまでの家庭を対象にしたい。それに、産後だけではなくて、産前からサポートは必要だと思うので、妊娠中(産前)のご家庭のことも聞きたいな。
和田:では、今回の調査では、産前から3歳のお子さんがいるご家族のことを細かく聞いてゆく、ということになりますね。

かなさん:さっきから何度も家事サポートの話がでているでしょう。私、ア・リトルの家事サポートはいいなとは思うのだけど、ぶっちゃけ、自分は家事を外注するのは抵抗があるの。
和田:かなさんは、家事サポートを利用したことがありますか?
かなさん:家事サポートのモニターをしてほしいと頼まれたときに、一度利用しただけです。
ようこさん:何人か家事サポートのモニターをしてもらって、分かったのは“家事サポートは頼みにくい”という意見が結構あったこと。その理由は“夫に遠慮がある”、“一人で家事ができない自分はダメなお母さんという気がする”、“お金がかかる”など。調査では、何がハードルになって家事サポートを頼みにくいのか、という事実も知りたいです。

ゆうこさん:(調査に協力してくださる方)ご自身のことや、産前や産後の体や心のことについても聞きたい。
和田:ご自身のこととは、何を聞きたいのですか?
ゆうこさん:家事サポートを利用したら楽になるのに、という人は多いのに、家事をなかなか手放せない女性に何人も会うのですよ。
和田:そのような意識を変えたいということですか?
ゆうこさん:“家事も育児も私(女性)がしないとダメ”、“私はダメな母親”と、女性が思い込まなくていいように“ア・リトルがいるよ”と助け合いの輪を広げてゆけたらな、と思います。

ゆうこさんが“家事も育児も私(女性)がしないとダメ”と思い込んでいる女性が多い、と言ったあと、和田が「いつから子育てを助け合わなくなったか」という話をしました。
私はその話を聞き、「助け合わない子育てが当たり前」になったのは、私たちの母親世代からだったことを改めて理解しました。

目次へ
仮説

「助け合わない子育てが当たり前」は、いつから?

戦後まもない1950年代は、まだまだ台所や風呂を近隣の家同士で共有していたところも多く、日常的にご近所で調味料を貸し合ったり、子どもを預け合ったりしていました。
高度経済成長期を迎えた1960年代、若い夫婦の間で団地暮らしがブームに。
団地では台所も風呂も独立し住宅設備が整備された一方、母親が団地の密室で子育てをするようになります。
そして現在、そうした母親に育てられた世代が親になり、「子育ては母親がするもの」と思い込んで、子育ても家事も母親一人が担っているというのが現状だったのです。

目次へ

「ダメダメお母さん」という思い込みの正体

この話を聞いて、私が産後に感じた「ダメダメお母さん」という思い込みの正体に気づきました。
私の母親も結婚後、生まれ育った地方から神戸の団地に移り住みました。
父親は出張が多く、団地の閉ざされた空間で、母親は幼い子ども2人を育てながら、すべての家事を一人でこなしていました。
子育てが思い通りにいかない時もあり、母親は何度かノイローゼになりそうになったそうです。
それでも母親は「家事も子育ても、自分一人でやるのが当然」とその役割を担っていました。

そして、私も子どもが産まれて、誰にも頼らず、母親のように「一人で」子育てをすることが、「良い母親」だと思い込んでいたのです。
だからこそ、産後に子育てがうまくいかなかった時に、「一人で子育てをできない母親」=「ダメダメお母さん」と落ちこんでしまったのでした。

目次へ

まずは「今、どんな子育てをしているか」を知る

ア・リトルの活動を担っている会員のなかには、結婚後移り住んだ西宮で、知り合いもおらず、孤独な子育てをしていた経験がある方もいます。
2018年度に西宮プロジェクトで行う調査では、そんな経験をしてきた女性たちにも調査員となってもらえたら、という話になりました。
翌週のミーティングまでに、各自で「3歳までの子どもがいる方たちに、どんな子育てをしているか」、「産前(妊娠中)には、どんな準備をしたか」などの事実がわかる質問を考えてくることになりました。

この4月の会議から1年ちょっとが過ぎ、2019年5月半ばに調査報告会が終わったところです。
次回は、私にとっても、ムラのミライにとっても、初めてとなった「子育て実態調査」の中身をお伝えします。

目次へ
ミーティング風景 お茶