第8号 「マジシャンとファシリテーター」 (2014年1月20日発行)

In 601プロジェクト通信 ネパール「バグマティ川再生 でこぼこ通信」 by master

目次

1.モデル・レッスン翌日のソムニードスタッフのやりとり
2.あのアイレンズ・スクール 再登場
3.ビスターレじゃないネパール人
4.私の名前はワダといいます。
5.ファシリテーター 和田はマジシャン?
6.「愛だよ、愛。」
7.サントシュ先生の横に展開する活動
8.終わりに

1.モデル・レッスン翌日のソムニードスタッフのやりとり

モデル・レッスン第1校目が無事終了した翌日。
ソムニード(現ムラのミライ)スタッフのディベンドラとウジャールとショウコ(私)は、昨日のモデル・レッスンの出来栄えについてあーだこーだいっていた。

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私「ディベンドラさん ウジャールさん、昨日のモデル・レッスン、どうでしたか?」
ウジャール「いや~、疲れましたね~。昨日は。ソムニードスタッフ3人がかりで全面サポートする羽目になりましたよね。大変でした。」
ディベンドラ「次のモデル・レッスンの学校の先生たちを、もっと事前にサポートしないと、また同じようなことになってしまいますね。」
私 「ソムニードのモデル・レッスンにおけるミッションとかいうのもよくわかんなかったですよ。私は」(チラッとディベンドラを横目でみつつ)
ディベンドラ「ウジャール、先生にソムニードオフィスに来てもらってしっかり話をしようか。」(私のコメントをスルーするディベンドラ)
ウジャール「そうですね、もっと先生方に一つずつ丁寧に確認をして、入念な準備を促します。モデル・レッスン第1校目からの経験を学びにしましょう。」

誰だって初めての経験は難しい。
クマール先生にとっても、子供たちにとっても初めての経験となったバグマティ川での一日課外授業。
モデル・レッスンのように、学校の子供たちを一日の課外授業に連れて行く、しかも単なる河岸でのピクニックではなく、目的とタイムスケジュールが詳細に練られた課外授業となれば、尚更そうである。
事前準備もさることながら、その計画の実践もまた初めての試みとなるのだから。

ファシリテーション 」への道のりは遠いディベンドラや、ウジャール、そして私も、クマール先生同様、初めての経験を一つ積み上げた。

1回目の経験を終え、ソムニードスタッフは、次のモデル・レッスン実施希望校に対して、更に綿密な計画を立ててもらうように、そして1回目の経験から得られたことを活かしてアドバイスを伝えた。
このモデル・レッスンはソムニードの研修ではなく、先生が自主的に行うモデル・レッスンであるということ、ソムニードはあくまでも必要に応じて影ながらサポートを行う、ということをしっかり伝えた。
「モデル・レッスンの目的と詳細がしっかりしている」と感じるまで、提出されたデザインシートは何度も、何度も先生に突き返された。

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2.あの、アイレンズ・スクール 再登場!

そして1週間後の9月18日。
この日はアイレンズ・スクールのモデル・レッスンの日となった。
こちらの学校は、ビスターレな国ネパールとは思えない驚異的、そして圧倒的なスピード感を持って、ソムニードの研修成果を学校で継続し実践してみせた学校である。

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「国を問わず、どこの研修も普通は『研修は研修』。
研修内容が実際の活動に結びつく例は、ほとんど見られない。
日本国内での研修だって同じ。
日本で研修を受けた日本人だって、アイレンズ・スクールほどの動きはそうみられませんよ。」
とハギさんを驚かせた、あの学校である。

同学校では、女性のスミ校長先生、そして男性のビスタ理事長の二人が、ソムニードの研修に欠かさず参加してきた。

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3.ビスターレじゃないネパール人

午前7時に学校へ集合した先生と生徒、そしてその保護者。
移動後、8時30分頃からバグマティ川上流のスンダリジャルにてオリエンテーションが開始された。

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「列を作ってぇ、せぇいれつっ(整列)!」
と、ビスタ理事長。
そしてサッと動く子供たち。

「ソムニードが準備を助けてくださったエコバッグを配布します!」
とてもきびきびとした動きで、先生がたがエコバッグを生徒に配布する。

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「はい。では回れ~左!」
サッと生徒が左に向きを変え、スンダリジャルの山に向かって並び直した。
「皆さん、目の前になだらかな山がありますね。この山頂にバグマティ川の水源があります。」
「天から雨が降ると、山の頂上から雨水が川となってバグマティ川を流れます。」
「川になって流れる雨水の他は、山に生える木や植物、そして地面に雨水が着地します。
そして地表から地中へ流れ込み、地下水となって雨水が地下に浸透します。」
「今、皆さんの目の前にみえる、この山の頂上から麓、そして私たちが立っている地面も含むこの一帯を、「ウォーターシェッド」 (小規模流域)といいます。」

ここまでの生徒の誘導、そして簡単なウォーターシェッドの説明をビスタ理事長が手際よく行った。
このウォーターシェッドに関する学びも、ソムニードの第1回目の研修でスミ校長先生とビスタ理事長が得たことだ。
機敏な動きと、無駄な動きが無い生徒たちの様子に私は驚いた。よく訓練されたネパール人学生もいるのだなと。

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マイクを持つビスタ理事長とスピーカーを運ぶ学生たち

ビスタ理事長の手には「マイ・マイク」。
大きな黒のスピーカーを持参したビスタ理事の声は、爽快な青空の下、どこまでもよく通っていた。
グループ分けされた生徒たちには大小の掬い網や記録のためのデジタルカメラ、バケツに手袋など観察に役立つ道具が貸し出された。
そしていよいよ第1点目のスンダリジャルの観測地点に一向は向かった。

1週間前のクマール先生のモデル・レッスンの時と同様にバグマティ川の水量は多く、ザーッという水流音も耳に心地よく響く。
スミ校長先生やビスタ理事長が、河岸に生息する植物や花に生徒の注意を促した。

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バグマティ川上流に生息する植物

鳥がみえないか、あたりと上空を注意深く見渡す生徒。鳥のさえずりがきこえてこないか、注意深く耳を澄ます生徒。
スミ校長先生やビスタ理事長の指示のもと、他の先生がたも一緒に手分けして、グループごとに生徒を川の中へと誘導した。
バケツに川の水をすくい、生物を探す男子学生。
ネパール語に翻訳された説明書を片手に、簡易水質検査キットで先生と一緒に検査する女子学生。

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保護者も一緒になって川の中に入り始めた。
皆、スンダリジャルのこの地点でバグマティ川の中に入った経験は今までに無いという。
参加した先生にとっても、子供たちにとっても、そして保護者にとっても初めての経験がギュッと凝縮されたスンダリジャルとなった。

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4.私の名前はワダといいます。

スンダリジャルの観測地点に到着して1時間半後。
そろそろ次の地点へ向かう時間だ。
これまでにソムニードスタッフの出る幕はほとんどなかった。
それもそのはず、スミ校長先生とビスタ理事が的確にキビキビと指示を出すからだ。
そして完璧なまでに統率された生徒たち。ソムニードスタッフが何も言わなくても、あれよあれよという間にスミ校長先生とビスタ理事長が計画通りに物事をすすめていった。
楽しそうな生徒にその保護者、付き添いの先生たちを、だまってみていた和田からビスタ理事長にひとこと。

「ビスタ先生、次の地点へ向けて出発する前に2分だけいいですか?」
そしてソムニードのファシリテーター・和田を囲むようにして一同が集合した。
ビスタ理事長からマイクが手渡されたが、和田は必要無いという。
そして声がよく聞こえるようにと、一同を前へ前へ、和田の近くへと集まるようにお願いした。
ソムニードスタッフも和田の側へと張り付いた。

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和田    「皆さん こんにちは。私の名前はWADAといいます。」
「皆さんとお話したいので、2分だけください。」
「皆さんは、楽しかったですか?」
生徒    「はーい!とってもっ!!」(ニコニコ笑顔)
和田    「では、ここで皆さんが何をしたか、教えてください。」
生徒    「観察ーー!」
和田    「では、観察するために、何を使ったか教えてください。」
生徒    「D.O.測定器!」「バケツッ」「検査キットー!」「掬い網~」「シャベル!」
口々に生徒が元気よく応える。

和田    「それだけですか?それだけじゃないでしょう?」
生徒    「掬い網!」
和田    「それはもう誰かがいいました!」
生徒    「うーん。エコバッグ?」
和田    「他には?」
生徒    「お水!」「川!」
和田    「他には?」

皆、真剣に考えだした。
皆、「このおじさんの出す質問の答えはなんだろう?」という顔で、視線を和田に向けている。皆、笑顔だ。目がキラキラしている。
まるで難問クイズに挑戦する生徒に先生に保護者たち。

あろうことか、ソムニードスタッフも和田からのクイズに真剣に考える。
私 「ねぇねぇ、ウジャールさん、和田さんの質問の答え、わかりますか?」
(ヒソヒソとウジャールに耳打ちする私
ウジャール「うーん。なんでしょうね~。」(考えこむウジャール)
私 「私、多分わかったもんねー。多分(私の答え)あってますよ!ふふふ」
(ウジャール君、きっとわかってないね~と密かに思う私)

しばらくして、「目!」「手!」と誰かが叫んだ。
そして「体全体!」と、ある男子学生が叫ぶ。
ワッと笑い出すクラスメート。

和田    「その通り!」
「今、何が聞こえますか?」
「今から1分間。目を閉じて、集中してみてください。」
「何が聞こえるでしょうね?」

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そして1分間の沈黙の時が流れた。
1分後。

和田    「何がきこえましたか?」
生徒    「川の音ー!」「風の音ー!」「お水の音!」「トンボの羽の音がした!」
「コオロギの鳴き声が聞こえた!」
和田    「コオロギですか?本当に?今きこえましたか?」
「コオロギはいつの時間帯に、どの季節に鳴き声がきこえてくる虫ですか?」
「これは皆さんへの宿題です。また調べてきてください。」

和田    「もし自分の目でみて、耳を澄まして、実際に手で触れてみると、実に多くのことがみえてくるようになります。」
「鼻で匂いを嗅ぐことも大事です。意識を鼻に集中して、匂いを嗅いでみてください。」「体全体を使うのです。」
和田    「皆さん、このスンダリジャルの風景を頭にしっかり記憶しましたか?体全体を使ってみえてきたことを、記憶してください。」

和田    「では、次にここをみてください。」
和田が皆の視線を、河岸に促した。

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和田    「これは何ですか?」
水のペットボトル、スナック菓子の袋、靴下などの衣類、水色のプラスチックの買い物袋などが集められて一箇所にまとめられている場所を指した。
生徒    「ゴミです!」
和田    「そうですね。では、なぜゴミが集められてここにあるのか、という疑問について考えるまえに、『自然』(Nature/Grass)と、この目の前にある『ゴミ』(Waste)の違いについて考えてみましょう。」

生徒    「自然か人工的かという違い、かな?」
和田    「そうですね。この目の前にあるゴミは腐りません。生物や草木などの植物は死んでしまうとどうなりますか?」
生徒    「腐ります!」「土に還ります」
和田    「土に還った草木や生物はどうなりますか?」
「また植物として土から戻ってきますね?」
「では、この前にあるプラスチックのゴミなんかはどうなるのでしょうね。」
「また、考えてみてください。」
「ところでこのゴミ。半径3mの範囲内でこれほど集められたんですよ。」
和田    「では、私からは以上です。」

そこでスミ校長先生とビスタ理事長は、次の観測地点に向けて出発するよう参加者全員を誘導し始めた。

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5.ファシリテーター 和田はマジシャン?

移動バスへ向かう道中のこと。
ディベンドラと私は顔を見合わせた。
お互い何を思っているのか察しがつく。

私    「すごかったですね。今の。」
私    「観察するということがどういうことかを、子供にもおばあちゃんにもわかる言葉で、且つ楽しく説明されてしまいました。」
ディベンドラ「あれこそがソムニード流ファシリテーション。」
私    「ディベンドラさん、早速、次のモデル・レッスンで私、和田さんの真似してみます!次、私、喋りますから。『皆さん、私の名前はショウコです。』 ってところから真似しますよ!詰まったら助けてくださいね。」
ディベンドラ「お、ショウコさん、次喋りますか?わかりました。私も、和田さんの真似をしようと思います。」

前回の、疲れ果て疑問が多く残った経験があったからこそ、今回の和田のファシリテーションが一層輝いてみえた。
自分の頭でファシリテーションの引き出しを作ることはできなくても、真似するところからは始められる。お手本が提示されたのだ。

「あ、そういえば、『観察する』ということがどういうことか、ということをじっくり考えたことがなかったな。しかも、『観察して、だから何?』というところもすっ飛ばしてきた」
ということにも、改めて気がついた。ほとほと、何も考えていない私である。

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マジシャンがカラフルな旗をスルスルとポケットから出し続けるマジックのように、ソムニードのファシリテーター和田が紡ぐファシリテーション術も、一見簡単そうにみえて、やはりこれはマジックなのである。
マジックは試行錯誤と計算の上に成り立つ鍛錬された職人技であるがゆえにマジック、なのである。魔法ではなく、マジックだ。

一流のマジシャンは、観客に「あっ」と息を呑ませ、観客の心を奪う。
皆、マジシャンが繰り広げる技に魅了されるのだ。
同様に、和田のファシリテーションも、生徒や先生たち、そして保護者を短時間にして魅了した。
実にシンプルでありながら、頭を使わせる問いに誰もが惹きつけられる。
和田のクイズのような質問の答えを是非あててみせたい。皆一生懸命、そう考えるからだ。

ヒントは出しても答えをこちらから出すことはない。
相手に考えさせ、記憶を思い起こさせ、答えを言わせる。しかも楽しいと感じさせる。
それが、マジックのようなソムニード流ファシリテーション。
何事も、楽しくなければやる気スイッチは入らない。
また、脳みそを使って考えたり、思い出すということは大抵誰もしたがらない。
誰かに脳みそを預けて答えを教えてもらったほうが楽だから。

ファシリテーター和田が事前に何を考え、どのような準備を重ね、或いはどのような経験を積んできたから、先に繰り広げられたシンプル且つ人の心に響く(つまり、ちゃんと聞いている)問いかけが可能になるのか。
ディベンドラやウジャール、そして私にはその辺はまだわからない。

でも、わかることも一つ、二つはある。
1)自分はまだ何もできないし、知らない、ということ。
2)和田のファシリテーションは、人の目をキラキラ輝かせ、考えさせるスイッチが入る、ということ。

さて、これからソムニードスタッフへなちょこ3人組は、何を考え、何ができるようになるのだろうか。

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6.「愛だよ、愛。」

その後の移動車両の中でのこと。

私    「和田さん!さっきのファシリテーション、めちゃくちゃ面白かったです。
私も一緒になって考えました。保護者の方も楽しそうにしていました!」
和田    「ああいう、その場で『ポッ』とできるファシリテーションが、ディベンドラやショウコもできるようになるといいね~。」
私    「はい、すごくそう思います。それに比べると、前回のモデル・レッスンはひどく残念です。ファシリテーションの「フ」の字もなかったですから。」

私    「それにしても、やはりアイレンズ・スクールは相変わらずすごいですね。皆、楽しそうにしてましたけど、何を感じとってくれたんでしょうね。
この経験が、本当にバグマティ川が綺麗になるきっかけの一つになるといいのですが。」
和田    「やっぱりね、これはね、『愛』なんだよ。『愛』。ハギさんじゃないけどさ。」
私    「うーん。愛ですか。」
和田    「誰かのことを好きになって愛情を持つと、その人のこといっぱい考えるだろう。」
私    「はい、そうですね。大好きになるってそういう事です」
和田    「それと同じ。今まで見向きもしなかった川で楽しい思い出を作るだろう?
楽しいからだんだん川の事が気になってくる。そうすると川について真剣に向き合うようになるんだよ。」
私    「確かに、『愛』ですね。」

政府のお役人が、外からやってきた国際機関が、NGOが、いくら川にゴミを捨ててはいけません。ゴミを分別しましょう、といった、よくある「気づきを促すキャンペーン」(Awareness Program)をやっても、或いは、補助金出してあげるから排水処理施設を設置しなさい、なんて口酸っぱく上から目線で提案しても、地元住民が川に対する愛情を持っていなければ意味がない。経済が悪化して補助金が切れたらもうおしまいだ。

ネパールでも、日本でも、どこの先進国や途上国でも同じことがいえると断言していい。

この後、アイレンズ・スクールは第1校目のモデル・レッスンと同じように、バグマティ川の上流からグジェシュワリテンプルとテクの中流を経て、カトマンズ盆地を流れるバグマティ川の排水口となるチョバール渓谷まで訪問することができた。

付き添いの先生方に手際よく指示を飛ばすスミ校長先生とビスタ理事長は、見事に予定通り4つの観測地点を1日日で訪問してみせた。

全部で4つの観測地点で道具や簡易水質検査キットを使った観察を行い、下流に下れば下るほど、バグマティ川の色は変色し、耐え難い匂いに変わっていくことに生徒たちも気がついた。

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川の中に入れたのは上流のスンダリジャルだけで、人口が過密する中流以降は触れると赤く腫れるまでに汚染されている川の状況を目で確認し、マスクで鼻と口を覆うことを余儀なくされるという経験も生徒たちにとっては初めてとなった。
テクを流れる川をみて、「この川は何という川ですか」と尋ねても、この川が上流でみたバグマティ川と同じ川であることをにわかには信じがたいといった表情をした生徒たちが印象的であった。

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7.サントシュ先生の横に展開する活動

アイレンズ・スクールのモデル・レッスンの後、他6校の学校がモデル・レッスンを行った。

ソムニードスタッフ側の経験値も増え、それに伴い先生方への事前のサポートの質も上がった。また先生がたも既にレッスンを行った先生に自ら連絡をいれ、情報収集をするなど、念入りな事前準備がなされるようになってきた。
学校毎にカラーが異なるものの、皆無事にモデル・レッスンを行うことができた。
10月末までに合計8つの学校がモデル・レッスンを実施し、ソムニードは今後これらの学校のフォローアップにも重点を置いて活動を展開することになる。

今までソムニードの研修を継続して受けてきた環境教育の先生方が今度はリソースパーソンとなってモデル・レッスンを行った。
インプットからアウトプットへの段階だ。
モデル・レッスンは先生にとっても初めての経験の連続でいい意味でのストレスを感じる機会となった。

モデル・レッスンは今までのソムニードの研修の一つの成果の表れであり、一つの小さな区切りでもあるが、決して終わりではない。
モデル・レッスン第3校目のサントシュ先生は、実際、自分の生徒たちへモデル・レッスンを行った後、自主的に他の学校を訪問し、バグマティ川に関する環境の授業を行ったそうだ。
ソムニードの事業対象エリアに隣接するカパンというエリアにある学校を訪問し、35人ほどの中学3年生と高校1年生に対し、バグマティ川の上流から下流までの川の状況や、水質検査キットの検査結果などを含む1時間ほどの授業を行ったという。

もちろん、ソムニードからサントシュ先生への提案があったわけではない。サントシュ先生自らが、授業の必要性を強く感じ、自分の学校だけではなく他校の生徒へもバグマティ川とゴミに関するリソースパーソンとなって出張授業を行ったのだ。
予期せぬ先生の横へ展開する活動に、ソムニードスタッフは驚き、喜んだ。

サントシュ先生に負けていられないと、刺激を受けた他の先生も考え始めたようだ。
モデル・レッスンのあと、自分に何ができるのかということを。

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8.終わりに

次号の通信では、ソムニードスタッフのファシリテーションのヘナチョコな真似事で奮闘する様子を混じえつつ、モデル・レッスン実施校のフォローアップの活動を紹介する予定である。

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注意書き

○モデル・レッスン=でこぼこ通信第7号参照。
○ディベンドラ:「ソムニード・ネパール」のリーダー。みんなの兄貴。
○ウジャール:プロジェクトコーディネーター とにかく人に好かれる、ネパール事務所一の長身。
○ショウコ:本通信の語り手、池崎翔子。本事業のアシスタント・プロジェクト・マネージャー。ネパール語を勉強するも全く頭に入らず、ネパール語の若者言葉を教えてもらい笑いでのりきろうとする生粋の関西人。
○「ファシリテーション」=ムラのミライの活動方法論にかかわる。詳細は「途上国の人々との話し方 ~国際協力メタファシリテーションの手法~」(和田信明・中田豊一著、2010年、みずのわ出版)もご参照ください。
○ビスターレ=ネパール語で「ゆっくり」という意味。ネパール人の口癖は「ビスターレ ビスターレ」なのである。
○継続し実践してみせた=でこぼこ通信第6号参照。
 ○ウォーターシェッド(小規模流域)=ムラのミライインド事業報告、「よもやま通信(第1部)」、「よもやま通信(第2部)」も御覧ください。
○簡易水質検査キット=正式名称:シンプルパック 水のチェック隊 (川の水)柴田科学株式会社
○ウジャールに耳打ちする私=ディベンドラは和田の英語をネパール語に、ネパール語の生徒たちの回答を英語へ通訳するのに忙しくしていた。
○へなちょこ3人組=もちろん、ディベンドラ、ウジャール、そしてショウコ(私)の3人である。ただし、この中でも一番の兄貴分、ディベンドラは和田の弟子歴が一番長く、経験も積んできている。私にとっても大先輩。従って、一番へなちょこなのは私とウジャール君である。