メタファシリテーションとは

「ない」ことは本当の問題なのか?

認定NPO法人ムラのミライは、1993年に岐阜県高山市で設立されました。設立当初は「インド山村部の貧困層を助けよう」と、識字教室や収入向上活動など、「ない」ものを投入する支援から始まりました。
しかし、さまざまな活動を経て、都市化と市場経済化の進展がコミュニティとコミュニティの維持してきた自然資源やセーフティネットを衰退させ、多くの社会課題を生んでいること、それが海外・日本に共通する構造であることに気づきました。

コミュニティに「ある」ものを引き出し、課題解決を促す

そこで、住民との対話を通じてコミュニティに「ある」もの=彼らの持つ経験や知識を引き出し、住民自身による課題分析・解決を促す独自の「メタファシリテーション手法」を開発。徹底的に住民主体にこだわり、インド、ネパール、セネガルで、コミュニティが資源を維持、活用、循環させる仕組みや暮らし方を創り出していくためのプロジェクトを実施してきました。

地域づくりで、医療で、子育てで

「●●がないから、××ができない」という思い込みをひっくり返し、住民を本気で課題解決に向かわせる力を持つと、高い評価を受けるようになったメタファシリテーション手法。この手法を書籍『途上国の人々の話し方』やムラのミライの理事・職員・認定講師によるセミナー・研修で伝え、住民の行動変化を促すスキルを持つファシリテーターを育成してきました。国際協力分野だけではなく、日本国内での地域づくりや、医療・介護、子育てといった分野で実践する人が増えつつあります。

メタファシリテーションとは

メタファシリテーション(対話型ファシリテーション)は、国際協力の現場で使える実践的なファシリテーション手法として、ム ラのミライの和田信明中田豊一が開発・体系化しました。課題発見・解決に取り組む個人あるいはグループ・コミュニティを側面から支援する実践的な技法です。この手法がまとめられた著書「途上国の人々との話し方 国際協力メタファシリテーションの手法」(2010)は口コミで広まり、青年海外協力隊など国際協力の現場で活躍する人の間で、必読の書となっています。

メタファシリテーションの定義

メタファシリテーション手法を生み出し、体系化した和田信明・中田豊一による定義は下記の通りです。

メタファシリテーション手法とは、ファシリテートする側が当事者に対して事実のみを質問していくことによって、当事者が思い込みに囚われることなく自分の状態を正確に捉え、そのことによって自分の経験知から課題の解決につながる示唆を主体的に得る過程を創り出す手法である。またこの手法は、ファシリテートする側が事実のみを訊くことによって自分が現在何を訊いているのか正確に認知すること、すなわちファシリテートする側のメタ認知(meta cognition)を促し、ファシリテーションの過程そのものの客観性とファシリテートする側と当事者とのコミュニケーションの効果を最大限に担保する。

*メタ認知についての参考サイト

奈良教育大学HP
脳科学辞典

メタファシリテーションの特徴・効果

日常生活でも使える

国際協力プロジェクトや地域づくり活動に限らず、身の回りの問題の解決にも有用です。例えば、家族や友人の悩み相談、職場での会議 や打合せ、顧客や患者、学生などとのやり取りを充実させることができます。

どこででも、すぐに実践できる

ごくシンプルな方法であるため、すぐに実践してみることができます。一対一の対話を基本にしていますので、家族や友人を相手に、あるいは街角や村で出会った人を相手に実践できます。ワークショップや会議の場を設定する必要はありません。

対等な関係づくりができる

徹底的に「当事者主体」の学びと気づき、さらには行動変化を促していく手法ですので、支援する側・される側、教える側・教えられる側というような一方的な力関係を作ってしまうことがありません。むしろ、そうした力関係に陥りがちな場を打ち破る力を持つ対話方法です。

研修やセミナーに参加する

ムラのミライでは、メタファシリテーション(対話型ファシリテーション)の初歩から上級まで、段階を追って学べる講座を実施しています。講座では、人間科学に基づいて、理論と実践のつなぎ目を徹底的に検証しながら繰り返し練習することで、手法を自分のものにしていきます。従来の「講座のための講座」とは、特に次の点が違います。
‐日常訓練の方法を伝授:日常の活動の中で、ワークショップなどのファシリテーターを行う機会に恵まれることは稀です。そこで、この講座では、学んだこと を日常生活や仕事で練習するための訓練方法を、講義と演習を通して伝授します。丸1日の講義だけで、確実に役立つのはそのためです。公的な活動にとどまら ず、家族や職場の同僚などとの日常的なコミュニケーションにおいても役立つことは、これまでの参加者の経験からも実証済みです。
‐実践的で柔軟な組み立て:参加者の状況や要望に合せて進行を変えます。参加者の個別の課題を取り扱うなど、実践的、現実的であることを最優先して進めて行きます。

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メタファシリテーション体験セミナー

メタファシリテーション基礎講座

16-02対話型ファシリテーション講座

講師・アドバイザー・コンサルタントを招く

メタファシリテーション(対話型ファシリテーション)のスキルと経験を持つ人材を、様々なプロジェクトや活動の現場や講演会に派遣しています。

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書籍を読む

「途上国の人々との話し方 国際協力メタファシリテーションの手法」

「NGOワーカーとして、青年海外協力隊員として、フィールドワーカーとして、当事者/住民の前に立った時、何をどう話せばいいのか?」
「インタビューや調査を通じて相手の本音を聞き、住民の主体性を引き出し、活動に結びつけていくには?」
「住民参加型プロジェクトの形成・実施・モニタリング・評価など各過程でのコミュニケーションのポイントは何か?」
といった問いへの答えを、途上国での開発援助の現場を主な舞台に、体系的かつ具体的な手法として示しました。
豊富な実例・事例を通してわかりやすく書いた、コミュニティ開発・地域活性化・地域づくりに取り組む人におススメの本です。

Tojokoku
和田信明・中田豊一(著) みずのわ出版 2010年11月発行
定価:3,500円(+税)  ISBN-10: 4864260052

皆様にいただいた書籍のご感想を、NAVERまとめ でご紹介しています。

Reaching Out to Field Reality ~Meta-Facilitation for Community Development Workers~

「途上国の人々との話し方」英文版です。2015年2月発行
定価:2,300円 (+送料実費) 詳細・ご注文はこちらからどうぞ
インドネシア語・ペルシャ語版もございます。ムラのミライ(infoアットマークmuranomirai.org)までお問い合わせください。

「南国港町おばちゃん信金:『支援』って何?“おまけ組”共生コミュニティの創り方」

南インドのスラムのおばちゃんたちに、ムラのミライの「親方」に、インドのローカルNGOの親分たちにきたえられながら、支援しない技術=対話型ファシリテーションを身につけていった様子がマンガつきで楽しく読める一冊です。

原康子(著) 新評論 2014年9月発行
定価1,800円(+税) ISBN-10: 4794809786

「PKPM ODAの新しい方法論はこれだ」

モノも配らない・インフラも作らない・やるのは研修だけ、しかも参加者の自腹!?
…メタファシリテーション手法を育てた、空前絶後のODAプロジェクトの記録。

西田 基行 (著)  文芸社 2008年4月発行
定価1,500円(+税) ISBN-10: 4286041166